涙の焼肉三昧

すでに一人で街に出て行った市村さんに合流し、一緒に昼食を。といっても二人で識字率ゼロなので、ガイドブックとジェスチャーで食べたいものにありつく。たらふく食べて一人あたり5,000ウォン=500円。安~。嬉々として近くのカフェに移ってコーヒーを飲んだら、水のように薄いアメリカンが4000ウォン=400円。納得できない(怒)。
おととい約束したとおり、東崇アートセンターを訪問する。プロデューサーのホン・キユ氏と、英語の堪能な若い女性の演出家、さらにアートセンター所属の劇団の演出家が揃って迎えてくれる。センターは大学路の一角にあり、劇場大小2つ、映画館も併設しており、センター正面の広場ではアンチ・ファーストフードのイベントで人がいっぱい。市村さんも私も思わず署名に参加。たった一人の女性オーナーが創設した民間アートセンターは、自由かつ明確な意思を持ってプログラムを行っているようだ。実際かかっている映画も非商業系の芸術性の高いものだし、演劇も小屋貸しはほとんどせず主催あるいは提携公演で年間運営されている。民間同士の国際ネットワークをつくり、2006年に国際フェスティバルをやることが目下の目標だそうだ。これからじっくり情報交換を続けていくことを約束する。

4時30分から始まるラビア・ムルエの新作を市村さんに見せようと劇場へ。初日はあんなに人で溢れていたハクチョン・ブルー劇場入り口なのに、なんだかえらく閑散としているな~などと思いながらも、もしかしたら現れるかも知れない津村さんたちを待つ。10分前になったので劇場に入ろうとしたところ、スタッフの女の子とたちが怪訝そうな顔をする。「もうとっくに始まってますけど~。。。」がーん、パフォーマンスは4時からだったのだ…!しかも絶対に途中入場を受け付けないという。がーん。ああ…招待チケットを4枚も無駄にしたのみならず、ラビアとの約束を守ることもできず、市村さんにラビアの新作を見せることもあたわず。同じフェスティバル・オーガナイザーとして、最低最悪のことをしてしまったという自責の念で、猛烈に落ち込む。
ショックから立ち直れないまま仁寺洞(インサドン)へ。仕方ないから観光でもして気分転換というつもりだったが、気分はふか~く落ち込んだまま回復せず。肉でも食わせれば少しは元気づくだろうというボス市村さんの提案で、一昨日行った焼肉店へ。デジカルビをたらふく食べて、少しは立ち直る。やっぱり哀しいときは肉か…。
夜はヨシ・オイダ演出、イズマエル・イヴォ振付のThe Maidsを観劇。イズマエル・イヴォの衰えを知らない肉体とその滑らかで密度の濃い動き、ジャン・ジュネのLes Bonnes 「女中たち」をベースとした緻密に構築された文学的世界。文句のつけようもないし、ヨーロッパ舞台芸術の最高峰レベルを維持していることは間違いない。だが今日の精神状態では感動もぜんぜん体に浸透してこない。
公演後、なんと4時間ほど前にたらふくデジカルビを食べたあの店で、市村さんを含むVIPディレクターのフェアウェル・パーティーをするという。うわ~また肉かあ。結局1日2度も同じ店で焼肉を食べることに。

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by smacks | 2004-10-16 18:05 | ■アジア出張