アヴィニオン1日目

7月16日
TGVを降りて初めて気がついた。あれ、いつもの駅じゃない? そういえばパリーアヴィニオンを3時間で結ぶ超高速TGVが誕生して、アヴィニオンの郊外に新しい駅が誕生したのだった。↓(いったい建築家は誰だろう? 知っている人がいたらぜひ教えてください。)
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ホテルに荷物を置いてフェスティバルのオフィスやチケッティングセンターがあるCloitre Saint-Louis(サン=ルイ修道院)へ。広場ではいつも記者発表やディスカッションが行われている。↓
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チケット発売当日に電話で予約した大量のチケットを受け取りに。いざ、観劇の日々が始まる。

■Les Vainqueurs 征服者
作・演出:Olivier Py オリビエ・ピィ
@ルネ・シェール高校 体育館 15:00~翌日01:00?
オリヴィエ・ピイといえば、95年に初めてアヴィニオン演劇祭に登場して以来、今回も入れて6回もアヴィニオンに招待されている常連。98年よりオルレアンのCDN(国立演劇センター)の芸術監督も務める。
今日の作品は、なんと全3部作、15時に始まり、次の日の朝01時に終わるという、全10時間(休憩ふくむ)の一大「叙事詩」。しょっぱなからこれだ・・・(ちなみに昨年はしょっぱなからカストロフの「コカイン」をノンストップで観て体力の限界を感じた。終演はやはり朝の1時過ぎだった)
プロローグ:15分
第一部:「アルカディの星」3時間
第二部:「敗北の地中海」2時間30分
第三部:「オリーブの王冠」2時間30分
舞台の写真はこちらで。

時間も根気もない筆者は、プロローグと第一部の前半のみを観劇。フランス語とはいえ、聞いて簡単に分る容易なテキストではない、何しろ「叙事詩」だし。・・・っていうか10時間頑張る役者・演出家・スタッフ・観客、マジで偉い。しかも5回公演。
役者たちの演技は新劇的で、特に斬新な演出があるわけではない。ある種古典的なストーリーラインや登場人物の設定があって、そこに様々な政治批判、権力を巡るディアローグが意図的に挿入されている。

■B#03 Berlin
Romeo Castelluci ロメオ・カステルッチ /ソシエタス・ラファエロ・サンツィア
@市立劇場 Theatre Municipal
ロメオ・カステルッチはイタリア生まれ、今年のベネツィア・ビエンナーレの演劇部門の芸術監督にも任命されている、今ヨーロッパで大きな注目を集める演出家。もともと美術家でもあり、舞台芸術の形式(一定の観客と、一定の時間と一定の場所を共有する)を使った美術作品とでも呼べそうなパフォーマンスが作風。
作品名がB#03 Berlin となっているのは単にベルリンのヘッベル劇場が受け入れ先となって制作したから。01から現在11まで、チェゼーナ(カンパニーの本拠地)、アヴィニオン、ベルリン、ブリュッセル、ベルゲン、パリ、ローマ、ストラスブール、ロンドン、マルセイユ、そしてチェゼーナに戻るまで11ものバージョンがあるのだそうだ。
曇りガラスのような幕の向こうで繰り広げられる世界は、陳腐な言葉を使ってしまえば「禁断の~~」とでも形容されそうな、実に怪しいエロティックで呪術的な世界。しかしそれが人々がどこかで探し求める心象と重なり、小さな眩暈や叫びのような、なんとも言えない陶酔を作り出すことに成功している。

観劇後、オリヴィエ・ピイ公演の出口で偶然お会いした世田谷PTの松井さん、書道パフォーマンスのアーティスト中島さん、桜田さん、弘前劇場の長谷川さんとサン=ルイ修道院内にあるレストランでお食事をご一緒させていただく。初日から肉をたらふく食べてしまった。
by smacks | 2005-07-16 23:35 | ■アヴィニオン05-06