smacks dialy

日々の仕事のこと、観劇・鑑賞記録、出張報告など、国内外の舞台芸術を中心としたアートおよびアートマネジメント全般がテーマです。
by smacks
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ

ドキュメンタリー「壁」

10月1日

朝からカフェ・ド・ボーブールCafé de Beaubourg でミーティング。パリに来ると必ずここでアーティストや友人と会うことにしている。待ち合わせに便利なだけでなく、誰にも何にも邪魔されず延々と議論できる不思議な魔力のある空間だ。

リュクサンブール公園まで散歩をし、凱旋門へ。イスラエルの女流監督、シモーヌ・ビットンが撮ったドキュメンタリー「Le Mur(壁)」のプレス試写会である。「壁」とはもちろん、あの「壁」のこと、イスラエルが建設を進める分離壁のことである。彼らはそれを「セキュリティ・フェンス」と呼んでいる。モロッコに生まれ、イスラエルとフランスの国籍を持つシモーヌ・ビットンにとって、このドキュメンタリーはまず自分の内的な必要性に迫られた作品だ。2時間にわたる映像の証言は、壁の建設を巡る社会的、政治的、経済的、文化的な背景と現象を多面的に描く。壁建設の工事現場で働く労働者の声、壁を前に遊ぶ子供たちの声。壁を越えて学校や仕事へ向かう人々の声。そしてマイクは壁建設を推進するイスラエル国防省大臣にも向けられる。長時間に渡るインタビューで大臣が気分を損ねて退席するところまでカメラに収まっている。淡々とした映像の証言がここまで多くの事実と人生を語ることに圧倒され続けた2時間だった。とにかく「壁」という現実がすさまじすぎるのだ。
ホールの外で、この作品のプロダクションであるCine Sud の担当者と落ち合い、食事をしながら日本での上映の可能性について話し合う。この作品はまだ日本での配給が決まっていないため、何とかダイレクトで上映にこぎつけたいと思っている。

夜は再びCNDへ。今日も[I am Hamlet] プログラムの一環で、ザビエ・ルロワのProduit de circonstancesを観劇。これは分子生物学者のドクターでもあるザビエ本人が、いかに分子生物学からダンスへと移行していったかその身体的・内的変遷をダンスと言葉で表現するものだ。非常に面白い。次にフランスのグループMichel Schweizer/La comaの作品「King」を観る。最初の30分でもういいよ、という感じだったが、出るに出られず、パフォーマンスは延々と続いた。結局次に予定していた作品に間に合わず、チケットを変更してもらう。また日曜日に来る羽目に。
# by smacks | 2004-10-01 14:59 | ■フランス滞在&もろもろ

国立ダンスセンター

9月30日

朝4時にシャルル・ドゴール空港に到着。このフライトに乗るとやたら長い一日が待っている。
初秋のパリ。あちこちの劇場や美術館で04-05シーズンのオープニングや大規模な展覧会、企画が目白押しな季節だ。中東方面への出張に合わせて2日ほどお休みをもらってパリに立ち寄ったのもそのためだ。

本日のスペシャルプログラムは、この6月にリニューアル・オープンしたCNDこと国立ダンスセンターCentre National de la Danseを訪問すること。パリ郊外、パンタン市の行政機関の建物を改造してつくられた。60年代に作られたコミュニスト様式の建物の無機質な構造が、洗練されたダンスのプラットフォームに生まれ変わった。9つものスタジオ、ホール、メディアテーク、カフェ、ギャラリー、レジデンス、広々としたガラス張りのオフィス、そしてダンサーのためのカウンセリングシステム。世界中のダンスの歴史と現在をすべて終結させようというユニバーサリスムの発想である。確かにダンスという芸術を形として保存していくためには当然の発想であり、翻ってダンスに関する資料がごく限られた個人や団体のもとに眠り公共性を持たない日本の膨大なダンス情報について考えるならば、こんなセンターが消え行く日本のダンス情報を収集してくれない限り、いつまでたっても日本のコンテンポラリーダンスはテンポラリーなままで終わってしまうかもしれない。

リヨンARSECのDESSコース(実践的大学院みたいなもの)時代の同僚、カルティカがこのセンターに勤務している。彼女は南インド出身で私よりちょっと年上。リヨンのコースが始まったころは、お互いフランス語にまだ問題があり、猛スピードの授業についていくのに必死でテープを録音して復習しあった仲(涙)。そもそもアジアから初めて採用された学生だったので、私たちは大きなプレッシャーの中にいた。そんな時代も既に4年前。彼女はコース終了後もフランスに留まり、シテ・ド・ラ・ミュージック、世界文化の家、そしてCNDと着々とアートマネジメント畑のエリート街道を歩んでいる。よく考えると毎年職を変えているが、そんなペースでどんどんキャリアを積んでいくのもフランスでは当たり前。

彼女のコーディネートで、CNDのプログラム・ディレクター、クレール・ヴェルレに会う。お互いの持っている情報を交換し、今後のプログラミングの材料にする。特に東京、日本に関する情報は、どこに行ってもいつも重宝がられる。それだけ日本のアートの情報が外に出ていないということだ。また中東に関する情報もしかり。その後、アーカイブや出版部のディレクターのクレール・ロジエともミーティング。次から次へと面白いドキュメントが出てくる。メディアテークも超充実。やはりアートは愛だけではどうにもならない。持続的な資金と、政治力、そして愛の三位一体がなければ、これだけのセンターを創造し、維持していくことは不可能だ。

さて、夜のプログラムは[I am Hamlet]というテーマに基づいたショート作品を連続4作品見せるというスペシャル・プログラムだ。CNDの04-05年シーズンのオープニングでもある。そこで私は再び、あのラビア・ムルエ&リナ・サーネーのBiokhraphia-ビオハラフィアを観ることになる。東京国際芸術祭2004で招聘した作品で、私は作品の選定から制作まで一通り担当させてもらった。東京では観客の意見が真っ二つに割れたが、今やヨーロッパの主要フェスティバルや劇場で引っ張りだこの作品である。今回はフランス語バージョン。リナのフランス語は完璧で、しかも実にうまい演技力のおかげでニュアンスが直接伝わるだけに観客にも大うけだ。「男なら撃て」といって足を打たれたエピソード、パンツを取り替えなかったエピソード、夫とのセックスのエピソードなど、ほとんど終始観客は爆笑の渦に包まれる。そうそう、本当にこの作品は「くそったれの自叙伝」なんだ。その滑稽ですべてを笑いながら解体してしまう絶妙のフィーリングを、アラビア語での東京公演では十分に伝えられなかったことが、私にはどうしても悔しかった。うぐぐ。。
# by smacks | 2004-09-30 14:53 | ■フランス滞在&もろもろ

smacks って?


思い立ったら吉日と突然ウェブログを始めることにしたものの、ドメイン名を決める段階から難航。こういうのは得意ではないので、ベタでフルネームのローマ字変換にしようかと思いつつ、それも長くて面倒なので母音をいくつか削ってみると-[smack] -ちょっといい感じの響きになった。こんな英単語なかったっけ?と思って調べたら、なんとこんな意味が・・・!

Smack : [他動詞]
1)チュッと音と立ててキスする
2)(平手・げんこつなどで)~をぴしゃりと打つ
3)~をドシンと音を立てて置く
[名詞]
舌鼓、舌打ち、チュッと音をたててするキス、平手打ち、ピシャリと打つ音、ドシンと落ちる音

「チュッ」と「ピシャ」、「どすん」が同じ動詞で表現されるのもなかなかイキ、ということで即採用! 

ウェブログの存在を知ったのは、2004年9月現在ドイツで研修中の同僚、せいこ嬢の「ドイツ日記」。報告書も兼ねる内容は本人の研修生活同様、超充実(えらい!)。身近な人が遠くで体験していることをこんなに近くに感じられるツールとして、こいつは凄いと思った。ひるがえって自分自身も、仕事で海外、しかも普通の旅行ではまずめったに行かないような地域に行く機会が多いのだが、その度に発見や感激を人に伝える時間や機会がないことを残念に思っていた。最近、私の勤めるNPO法人アートネットワーク・ジャパンの理事の一人であらせられる曽田修司さんも、秘かにウェブログを「防備録」的に使用しながら公開されていることを知り、そういう使い方もあったかとますます納得。まずは細々と地味に、書き綴りたい。
# by smacks | 2004-09-19 01:05 | ■その他もろもろ


その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧