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日々の仕事のこと、観劇・鑑賞記録、出張報告など、国内外の舞台芸術を中心としたアートおよびアートマネジメント全般がテーマです。
by smacks
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5月21日⇒23日

3日間まとめて。しかも時間がないのでごく簡単に。
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これは今年のクンステンのフェスティバル・センターがおかれたKaitheaterのバーの様子。グラフィック、かっこよい。

■Anne Teresa De Keersmaeker & Ann Veronica Janssens / Losas
[ Keeping Still - Part 1 Creation ]
ケースマイケルのソロと美術家アン・ベロニカ・ヤンセンのコラボレーション企画。場所はブリュッセル郊外にあるローザス占有の稽古場、その名もROsas Performance Space。今回のパフォーマンスに使用された部屋も350m2は軽くあるものと思われる。その奥行きを利用して、シンプルな照明によって空間を彫刻のように生み出す。BGMはマーラー。おお、美しきヨーロッパ、という感じの作品。まあ、ケースマイケルのソロだからこそ成立するあらゆる要素、この場所だからこそ成立するあらゆる要素をうまく使った、よく出来た作品。しかしやっぱり作品よりも驚くべきは、ローザスが持つ専用の稽古場の大きさ、スペック、美しさである。下の階にはやはり200m2以上の庭に面したレセプション・スペースがあり、きらきらしたシャンデリアの元、無料でドリンクや美味しい食べ物が振舞われる。貴族的な一夜だった。

■Rimini Protokoll [ Karl Marx / Das Kapital : Erster Band ]
リミニ・プロトコロル、今回はDaniel Wetzel と Helgard Hung のユニット。ただし基本的な方法論はStefan Kaegi と同じく、プロの役者ではなく、実社会で舞台上と同じプロフィールを持つ市井(?)の人々。全盲のテレフォン・オペレーターとか、経済系の学者とか、革命を信じて闘う若い活動家とか。さすがリミニと思わせる仕掛けもいくつか。
しかしイヤホンガイドの同時通訳はやはり厳しかった。本人たちにあとから聞いたら、やはりドイツ語圏以外で上演するのは初めてで、字幕よりは同時通訳でやってみようという話にはなったがちょっと難しいかも、とのこと。日本でやるなら、日本の団塊の世代のおじさんたちを舞台上に上げて直日本語でやったら面白いだろう、などと夢想が膨らむ。

■Natasa Rajkovic & Bobo Jelicic [ S Drung Strane ]
ザグレブの演出家。小さな舞台だが、ドラマトゥルギーがしっかりしていて、等身大で出来ることをちゃんとやっている感じ。テキストも家族や隣人関係という日常から戦争や社会的コンテクストまでひろがっていく構造。

■Anu Pennanen [ Soprus / A moment for the invisible ]
フィンランド出身のアーティストの映像インスタレーション。同じ出来事を複数の視点=カメラから撮影。不思議な物語性に引き込まれる。

■Sarah Vagnat [ Power Cut ]
ベルギー出身の女性アーティストによる映像ドキュメンタリーのインスタレーション。コンゴとルワンダの国境地帯で撮影されたドキュメンタリー。重い。


その他
今年のクンステンは、クリストフがディレクターになって初めての開催で、フリー・レイソンの路線がどう引き継がれるのか、何が変わるのか、というところで注目が集まったが、基本的な路線や方針に大きな変化はなく。心配されていた動員も問題なく、どの劇場もほとんど満員御礼・チケットはソールドアウト状態だったようだ。今年のクンステンも、会いたい人に会え、また会えると思っていなかった人に会え、アーティスト同士の出会いがある、素敵なことが沢山詰まった時間が流れたと思う。何度かフェスティバルオフィスにも行って打ち合わせをしたが、日々新作の初演や大きなプロダクションの公演があるにも関わらず、誰もてんぱっているスタッフがいないのには本当に関心した。基本的なノリは徹底してゆるいのに、決めるところでばっちり決めて勝負をする。東京の現実を振り返ると、学ぶことだらけ・・・

それからこれはもうひとつ、職業的な雑感なのだが・・・今回、いくつかのミーティングを通じて、ヨーロッパの一流と呼ばれる劇場、フェスティバル間の熾烈なライバル関係を生々しく垣間見ることになった。そしてそうした熾烈な競争の中で、ともするとアーティストが翻弄され、また都合よく消費されかねない状況も。少なくとも日本の演劇界は、そうした熾烈な競争の外側にいて、敵視されることはない。ヨーロッパの同業者たちは、大きな予算で大きな劇場やフェスティバルを運営していくにあたり、その評価の最大のポイントである共同制作と新作初演を巡って、猛烈なストレスとライバル心のもとでプログラムを組んでいることをあらためて目の当たりにした。初めて、ヨーロッパから遠く離れていることの、ある種のアドバンテージを感じた。所詮蚊帳の外、といってひねくれるのではなくて、それをアドバンテージとして泳いでいくこと。
by smacks | 2007-05-23 23:37 | ■クンステン・フェス05-06

ブリュッセル2日目

5月20日

朝はきっかり7時に眼が覚める。日本ではあり得ない遅寝早起きが実践できてしまう。

昼に、ヤン・ファーブルのオーディションに見事合格しアントワープで修行中の日本人ダンサー、上月くんと、昨年一緒にクリエーションをしたダミアン・ジャレの二人に再会。ダミアンに、本場ベルギー料理の店に連れて行ってもらうも、ムール貝の季節ではないということで、なぜか鴨肉を食べる。その後、フォンタナスという、ブリュッセルはアート系の若い人が集うというカフェに行ったら、日本で会った仏人アーティストと再会。うわ、世間狭すぎ。しかも、あとで分かったことだが、知人の日本人がその上の階に住んでいるとのこと。恐ろしい狭さブリュッセル。。

■Alvis Harmanis / New Riga Theatre 「The Ice」
海外ではじめてのイヤホンガイド(=同時通訳)つき公演。個人的なことだが、日本でもイヤホンガイドをつける公演にはあまり集中できないのだが、それが仏語となると、もはや苦行でしかない。。。10人ほどの役者が円状に座って、リーディング形式で本を読むが、リーディングというにはあまりに激しいパフォーマンスつき。観客にはアーティストが作成した写真集が渡され、そのかなりエログロ系のイメージもあわせて鑑賞し、想像力を喚起させる仕掛けらしい。評判がものすごいよいリーディング公演だっただけに、その内容を十分に消化できないのが残念。

■Cie Isabella Soupart 「K.O.D. (kiss of death)」
在ベルギーの若手振付家。題材はハムレット。エレクトロ・プログレ系?のロックの調べにのせて、歌あり、踊りあり、映像あり、演技あり・・・暴力とか狂気とか愛憎とか、ハムレットらしい仰々しい世界の現代版といえばそれまでだが、結構楽しんだ。たぶん、ドラマツゥルギーがはっきりしているだけに、安心して見られたのだろう。基本的に国内のローカルな若手アーティストがこれだけのレベルのものをこれだけの大きなプロダクションで発表できるということ、ベルギーダンスの層の厚さにも、感心。

■The Wooster Group 「La Didone」
20年前は素晴らしかった、という前置きがついてしまうThe Wooster Group。仰々しいテクノロジーの使い方は古臭く見えても、そこで語られる内容や方法やスタイルが古びない作品こそが歴史に残っていく作品であり、アーティストであるとすれば、The Wooster Groupの今日の展開とその作品の内容は、非常に厳しいものがあった。
by smacks | 2007-05-20 22:06 | ■クンステン・フェス05-06

パリ⇒ブリュッセル1日目

横浜⇒6時間だけ東京⇒10時間だけパリ⇒ブリュッセル。時間と空間が、連続しているような、途切れているような。寝不足すぎて意識朦朧。飛行機は2時間遅れたが、筆者にとっては2時間余計に寝られたので単純に得した気分。またもや離陸・着陸に気がつかず、起きたらパリだった。

■パリ-「ベケット展」@ポンピドゥー
10ヶ月ぶりのパリの変化を見る程の時間的余裕はなかったが、ベルギーへ移動するまでの数時間で、ポンピドゥーのベケット展とL'air de Paris という企画展をハシゴする。ベケット展はずっと見たいと思っていて、でもさすがにもう終わっていると思っていたけれど、ギリギリ間に合って本当に良かった。展示内容、展示方法ともさすがという感じ。過去のベケット作品上演の映像も沢山見れて、かなりおなかいっぱい。
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ところで、このたった数時間で気がついたパリの変化といえば・・・サルコジではなく、カフェをはじめ公共スペースがすべて禁煙になってしまったこと。オープンテラスにさえも灰皿がないという事態は、もやはパリのカフェ文化を衰退させるのではないかと心配になるほどだが・・・禁煙のためにカフェに来るという説もある。

そしてベルギーへ移動。

■チェルフィッチュ「三月の5日間」
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Kaaitheater Studio という小劇場。でも観客数は200くらいではないだろうか。満員御礼でキャンセル待ちの長い列。フランス語の翻訳もなかなか良くできていて、観客からは頻繁に笑い声がこぼれる。
プロの演劇関係者も、一般のお客さんも、ある新鮮でポジティヴな衝撃をもってこの作品を受け入れたようだ。少なくとも私がであった何人かの同業者の反応は一様に、極めてポジティヴだった。ここ数年来、日本の演劇といえばオリザ・ヒラタと疑わなかったフランス語圏ひいては欧州の演劇界にとっては、いよいよ日本の新世代の到来という感じなのだろう。
観劇後、カンパニーの皆とも合流。皆さわやかな充実感に溢れていて、安心。

■Ester Salamon 「And Then」
ハンガリー人女性アーティストのパフォーマンス。基本はダンスのはずだが、映像多様、テキスト多様、音楽多様。基本テーマは自分のアイデンティティ探しかな。やろうとしていることに対する方法論が散漫というか、どれもデジャヴな感じが厳しいパフォーマンスだった。

■フェスティバル・パーティ
夜は朝2時過ぎまで皆で飲んだくれ。これまで3年間ひとり寂しく通い続けたクンステンで、初めて日本人に囲まれ、日本人のアーティストや関係者が集っているということが、とても嬉しく、そういう状況をつくってくれたクリストフや岡田さんらとここで乾杯できたことも、本当に嬉しかった。
by smacks | 2007-05-19 23:38 | ■クンステン・フェス05-06

【告知】5月マンスリーアートカフェ

この数日間、ナント市の文化顧問ボナン氏来日などでかなりバタバタ・・・
なまま、明日から海外出張に行ってきます。9時の飛行機に乗り遅れなければ。。

5月のマンスリーカフェは以下のようになりました。
NY出身の気鋭の演出家と、敏腕プロデューサー奥山緑先生のトークです。
直前の告知となって恐縮ですが、ぜひお運び下さい。


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 □ 急な坂スタジオメールニュースvol.18 □  2007.5.17配信 

マンスリーアートカフェvol.6開催決定!
http://kyunasaka.jp/projects/project_archive/vol6/

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急な坂スタジオで全8回にわたって開催中の
『イェレナ・グルーズマン コラボレーション・ワークショップ』。
http://kyunasaka.jp/projects/project_archive/vol6/

ニューヨークと東京を拠点に活動する気鋭の演出家が仕掛ける実験的
ワークショップの全容を映像ドキュメントで振り返りながら、アーテ
ィストが掲げる思想や創作プロセスを解き明かします!

2007年12月に東京、2008年にニューヨークで公演予定の新作パフォー
マンス「Worm Man」に向けて、実験とアイディア・シェアを目的とし
て行われた今回のワークショップ。参加者はそこで何を見出し、どの
ような創作プロセスを共有していったのでしょうか?

聞き手は、イェレナ・グルーズマンと同じくコロンビア大学院で学ん
だ経験をもつ世田谷パブリックシアター制作課長、奥山緑氏。
アメリカ現代演劇の潮流や制作環境の文脈にも触れながら、グルーズ
マンの活動をプロデューサー的視点から立体化して頂きます。

グルーズマン流ワーク・イン・プログレスの試みから、創作を巡るヒ
ントが沢山詰まったカフェナイト、ぜひご参加下さい!

■ゲストスピーカー■
イェレナ・グルーズマン(演出家)
奥山緑(世田谷パブリックシアター制作課長)

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開催概要

▼日 時:2007年5月26日(土)
19時カフェオープン 19時30分トーク開始

▼会 場:
横浜アートプラットフォーム 急な坂スタジオ
〒220-0032 横浜市西区老松町26-1 旧老松会館

▼入場料:1000円(1ドリンク付)

▼ご予約 tel:045-250-5388 mail: toiawase@kyunasaka.jp
お電話あるいはメールで承っております。
メールでのお申込みは、件名を「マンスリーアートカフェ Vol.6予約申込み」として、
お名前、ご連絡先、お申込み人数をご記入下さい。

主催/横浜アートプラットフォーム 急な坂スタジオ(NPO法人アートネット
ワーク・ジャパン+NPO法人STスポット横浜)

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 急な坂スタジオは、横浜市との協働のもとNPO法人アートネット
 ワーク・ジャパンとNPO法人STスポット横浜が共同事業体として
 管理・運営を行う、公設民営の文化施設です。
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【発  行】横浜アートプラットフォーム 急な坂スタジオ
      Yokohama Arts Platform : Steep Slope Studio
      URL:http://kyunasaka.jp/
【お問合せ】〒220-0032 横浜市西区老松町26-1 旧老松会館
 tel 045-250-5388 / fax 045-261-1300 / toiawase@kyunasaka.jp
by smacks | 2007-05-18 00:27 | ■横浜【急な坂スタジオ】

GW美術館めぐり

GW中に行った美術展に関する防備録メモ。

■横須賀美術館 オープニング展
http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/museum/index.html
実は秘かにこのGW中にオープンした、横須賀市の美術館。JRの横須賀駅から船に乗って、猿島を経由して観音崎へ。その、フェリーと呼ぶには小さすぎる船は、激しく揺れて漁師気分を堪能できる。
必要条件はすべて満たしながら、十分条件というか独自の体温のようなものがまだ伝わらない建築およびコレクション。企画展<生きる>展は、小規模ながら現代の作家のそれぞれ異質な作品を当たり障りなく紹介。ヤノベケンジの「ジャイアントとらやん」はでっかかった。

■横浜美術館 「水の情景-モネ、体感から現代まで」展
http://www.yaf.or.jp/yma/梶井照陰、高嶺格、さらに今回圧巻だったのは石井尚志のレジデンス制作による超力作。まさに力技である。心奪われる。モネやターナーと現代の日本作家たちを並べる展覧会としての志にも好感を覚える。いろんな発見のある充実した企画展なので、7月1日までにぜひ行ってみてください。

■東京オペラシティ・アートギャラリー
第10回ヴェネティアビエンナーレ建築展帰国展「藤森 建築と路上観察」
http://www.operacity.jp/ag/
最近のオペラシティは本当にタイムリーで意義深い建築展が多くてすごい。ぱっとみ茶目っ気たっぷりなディテール<シアゲ>にこそ、深い思想性が隠されている。いわゆるゼネコン、建築業界の経営論理からは離れたところで試されて続けてきた実験の数々。

■メゾンエルメス 「メゾン四畳半 藤森照信」展 
同じく藤森照信氏のプロジェクト。4畳半の家、3パターン。ボッチチェルリのビーナスをイミテーションした貝殻のインスタレーションの中で、写真撮影も出来ます。

■国立新美術館
http://www.nact.jp/さすがにモネの大回顧展をここで見る気にはならず・・・
リヨンの3つ星レストラン、ポール・ボキューズ経営のカジュアル・フレンチレストランもどうも駒込フレンチに比べるとコストパフォーマンス的に入る気になれず・・・
図書室だけは、静かに落ち着いていて、極最近の展覧会のカタログや海外の雑誌がたくさん入っていてよい。
ネオ・バブリーな匂いが充満する六本木ミッドタウン。・・・・当たり前のことだが、そこではアートは第一にファッションであり、消費の対象物としてある。・・・元プジョー一家の邸宅(CICV)とか、元蒸気船とか(Batofar)、元中学校(にしすがも創造舎)とか、元結婚式場(急な坂スタジオ)とか、”お古”にしか務めてことがない筆者には、ミッドタウン的な豪奢なハードに対する正しい素直な向き合いかたがよく分からない。単にうらやましいだけなのかも知れないけど。アート界も格差社会化しているのかな。。。(昔からか)
by smacks | 2007-05-08 23:18 | ■美術系


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