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日々の仕事のこと、観劇・鑑賞記録、出張報告など、国内外の舞台芸術を中心としたアートおよびアートマネジメント全般がテーマです。
by smacks
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申請書の季節を爆走する

一体今日はいつ? ここはどこ?
ベイルートから戻ってからというもの、これまでの出張中にたまりにたまった仕事やら、目前に締め切りが迫った申請書の山に追われ・・・・

そう、11月~12月は申請書の季節。ANJスタッフも一同、一人平均4~5本の申請書を抱え、爆走中・・・・今日の消印有効の申請書を2本、23時30分までかかって、ようやく投函。。。。あああ疲れた。
by smacks | 2005-11-25 03:05 | ■アートマネジメント関連

ベイルートの夜は続く

つい数日前ベイルートで会ったレバノンの映画監督カリルとジョアンナに東京で再会する。二人は、現在開催中の東京フィルメックス2006コンペ参加している新作長編「完全な一日」の監督である。
マザコンで、彼女にも相手にされず、しかも無呼吸症に悩まされ突如死んだように眠りだす若い男のストーリー。ベイルートの町での撮影は、そのままエキストラなしで行われたというだけあり、あの街の表情がよく出ている。・・・・その、あまりにもベイルートな風景の中に、ちょい役で出演するラビア・ムルエを発見。。。友情出演? 恐るべしベイルートのアートコミュニティ。
彼女に逃げられ、酔っ払っているうえに、彼女が車に忘れていったコンタクトレンズをつけて、ますます視界が朦朧としながら、車を走らせる男の目に映るベイルートの夜が、あまりに美しく。
上映後のトークで、ジョアンナの言葉がとても印象に残った。ベイルートの人々が夜遊びが好きで、夜こそを生きようとするのは、ある種の戦争後遺症なのだと。あの爆撃の日々を毎晩のように過ごしたレバノン人は、いまだに夜落ち着いて寝ることができないのだ、と。
by smacks | 2005-11-24 03:18 | ■TIF07-レバノン

ベイルートのアートコミュニティ

気がつくと今日がレバノン最終日。。。やはり3泊は短い。午前中、少しだけ町の中を散策。カイロ、チュニス、アンマンなど中東のほかの都市と比べて、私はなぜかベイルートがずっと進んでいるのではないかという幻想を持っていた。しかし現実には、15年の内戦の傷跡は、あまりにも大きいことを知った。町のダウンタウンに、廃墟と化した建物、弾丸を浴びてぼろぼろになった建物があまりにも多すぎる。それが、内戦の集結した15年後にも当たり前のように残っているのである。
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ラビア&リナと昼食。地中海に面した素敵なレストランに連れて行ってもらう。今回の検閲騒動は、「恐ろしくはない。単にめんどくさいだけ」と言い放つ。つまり芸術的あるいは政治的な内容そのものについて問題を指摘されているわけではなく、あくまで表面的な表現が問題となっているのだ。とにかく今日、明日はウィークエンドなため何も出来ない。公演当日の月曜日に検閲局へ行って折衝をすることになっている。今後のことについても、いろいろと話す。そこへ、日本でも知られているレバノンのビデオ・アーティストのアクラム・ザタリが登場。未だに携帯電話を持つことを拒否しているラビアとリナに緊急のメッセージを伝えにきたという。。。涙。

この短いベイルート滞在で最も感慨深いことは、この、ベイルートにおけるアーティスト同士の連帯関係であるといってよい。ラビア、リナを筆頭に、映画作家やビジュアル・アーティストたちが互いに助け合い、議論を重ね、相手の作品の創作のプロセスにも影響を及ぼし、全体としてひとつの芸術コミュニティを形成していることである。例えばあのD.I.のエリア・スレイマンはラビアの作品の英訳を手伝ってあげたり、ラビアはジョハンナ&カリリという来週から日本のフィルメックスにも招待されている映画作家の作品に役者として登場したり、挙句の果てには今晩のアリ・シェリーの字幕オペレートをやってあげたり。。。。。お互いがお互いの作品に影響を与え合い、必要があれば手を貸し、刺激しあう。しかも彼らは、演劇、映画、ビジュアルアート、音楽と、あらゆるジャンルを軽々と横断しながら、お互いの力となっていく。この、岐阜県ほどの小さな国土、道を歩けば必ず知っている人に会ってしまうほどの小さな街で、このような芸術コミュニティが存在し、その小さなコミュニティから世界最高レベルの作品がぼんぼんと出てきているのだ。
またこれらのアーティストのほとんどが、アーティスト業以外に生活を支えるための仕事を持ち、その合間を縫って絶え間なく作品を作り続けているということ。ラビアたちにしても、これだけ世界中で有名なアーティストになった今でも、リハーサルのための劇場を借りることなど不可能で、本番直前まで自宅のアパートでリハーサルをしているという。。。涙。

午後からHome Works III の短編映像作品上映、シンポジウムに引き続き、アリ・シェリーのパフォーマンスが行われる。アリ・シェリーはTIF2004で招聘したラビア&リナの「ビオハラフィア」で、アニス酒を使った巧妙な舞台装置と映像を担当したアーティスト。今日の作品が彼の初パフォーマンスとなる。とてもセンスよい出来。今後がとても楽しみでならない。ちなみに、ラビア君はなんとオペレーションルームで英語字幕を出していた・・・世界で活躍する新進気鋭のアーティスト、また自分の検閲騒動の渦中にいて忙殺を極めるアーティストが、レバノンでは字幕だしもやる。どころか、字幕作成もやってあげていたらしい。・・・涙。

そんなかんなでレバノン3泊5日はタイムオーバー。検閲騒動の行方が気になって仕方がないが、夜中のベイルートをあとにした。
by smacks | 2005-11-19 23:49 | ■TIF07-レバノン

Who's afraid of censorship ? 検閲、ベイルート

昨夜の打ち上げに遅くまで残りすぎ、猛烈に疲労・・・さすがに連日の疲れがたまってしばしホテルでぐったりと。
午後からZico House をたずねる。ベイルートの中心部にあるアーティスト・イン・レジデンス&ギャラリースペースで、Zico=ムスタファさんというベイルート・アートシーンの影の立役者の所有するメゾンである。今はレバノンのアーティストのインスタレーションを展示中。トイレにも。↓
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再びHome WorksIIIの上映やシンポジウムのため劇場に戻ると、ラビアに会う。なにか顔が深刻。昨日の公演が検閲にひっかかり、来週月曜日に公演する予定の2回目の公演が中止されるかも知れないという。話によると、昨日の公演の観客にまぎれて検閲局の担当者が会場に潜入、テキストの卑猥で下品な表現、政治的なコノテーションなどをチェック、朝一番で電話による通達に及んだという。レバノン政府には検閲局というものがあり、作品の内容そのもの、芸術性うんぬんではなく、表面的なレベルで卑猥な表現や政治的に過激な内容を検閲している。
これまでもビオハラフィアなど、かなりスレスレの作品をベイルートで上演してきたラビアだが、今回のように検閲局から直接ストップがかかるのは初めてで、かなり当惑気味。しかし今日は金曜日。明日、明後日と週末なので何もできない。今すぐZico House に行って、テキストをプリント・アウトして郵送で提出することに。その際ひそかに自己検閲をかけているあたりが、なんとも涙ぐましい。しかし公にはテキストを変更・削除するつもりはもちろん一切ない。とにかくテキストを提出し、月曜日朝一番で検閲局へ劇場の責任者、フェスティバルの責任者、そしてラビア本人が出向き、ヒアリングが行われることに。検閲局の禁止を押し切って上演すれば、客席にいる検査官が公演そのものを力づくでも中止することができるという。しかしそんなことをすれば、レバノン国内はもとより、世界中から集まっている芸術文化関係者を前にレバノン国家の民主主義が疑われる。
英語字幕を追う限り、それほど過激な印象は受けなかったが、アラビア語を直接解する人は総じて、「いや、スレスレだった」という反応。やはりローカルなコンテクスト、ローカルの言語の中で発せられる言葉というのは、強烈なのだ。
それにしても、なんだか凄いことになってきた。。。このニュースは瞬く間にべイルートのアートコミュニティを駆け巡り、話題騒然となっている。「とにかく当日劇場に集まって、抗議活動を!」と呼びかける関係者も続出。(しかし強行に公演してラビアが刑務所にでも行ったら、筆者はとても悲しいし困ります)
・・・・期せずして、レバノン芸術史における伝説的な公演に居合わせてしまったようだ。
by smacks | 2005-11-18 00:24 | ■TIF07-レバノン

Who's afraid of representation?

滞在しているホテルは、レバノン内戦中に国外からのジャーナリストが集められていたというホテルで、そのせいかどうかは知らないが、やたら通信状態がよい。部屋から簡単に高速インターネットに接続できる。。。ため、ついつい仕事をしてしまう。

チュニジアのダンスフェスティバルのディレクター、パレスチナのハルサカキーニ文化センターの元ディレクターの方とミーティングをしているうちに日が暮れて来る。。。このままでは今日もベイルートに来た実感が沸かないまま終わってしまう! ということで、ちょっとだけお散歩に。地中海まで歩ける距離!
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郊外のギャラリースペースで行われる展覧会のオープニング。今日から始まるHome Works III のオープニングも兼ねている。かつてパレスチナ難民キャンプがあった郊外の工業地帯の、一見工場としか見えない建物の4Fに、秘密のアジトのように、広大なギャラリースペースはある。
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Askal Alwan―レバノン現代芸術協会は、クリスティーヌ・トーメさんという超やり手のレバノン人キュレーターがディレクターを務めるNPOであり、その活動はレバノン在住・あるいはレバノン出身の先鋭的なアーティストを発掘し、プロデュースし、海外に紹介し、各種出版やシンポジムまで、多岐に渡る。TIF2004で招聘したレバノンのアーティスト、ラビア・ムルエもこのNPOの存在がなければ今世界のトップアーティストにはなっていなかっただろう。

そのラビア・ムルエによる新作「Who's afraid of representation?」レバノン初演。400席のホールは超満員、立ち見をぎゅうぎゅうに入れても会場に入りきれない人が大勢出るほどの、大盛況。入場料は無料。というのも、検閲局に申請をしていないので公式な公演扱いをすることができないからだ。
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ベルリンのヘッペル・シアター(HAU)、パリのCND(国立ダンスセンター)、ウィーンのTanzQuartier Wien による共同製作。2005年2月ベルリン初演。
2005年2月といえば、レバノンでハリリ首相が暗殺されたのが2月14日。
舞台には映像を投射するスクリーンと、1人がけの小さなテーブルと椅子だけ。ラビアは椅子に座り、リナは机の上のカタログを手にする。任意に開いたページに掲載されているアーティストの名前を読み上げる。例えば、マリーナ・アブラモヴィッチ。ページ数は25ページ。リナはスクリーンのほうへ向かい、そこに彼女のシルエットがリアルタイムに映し出される。ラビアは「スタート」といってストップウォッチを押す。25秒間、リナはアブラモビッチのディスクールを読み上げる。25秒が経過するとラビアは「ストップ」とこのプレイを中断させ、リナはまた机のほうに戻ってくる。このプレイを基本として、20世紀の偉大なアーティストの名を借りて次々と展開する極めて挑発的なテキストに、観客は時に爆笑し、時にしんと静まり返る。英語の字幕を追ってもなかなかピンと来ないのは、やはりレバノンのローカルなものへのコノテーションが多いからだろう。しかし、こういった理解のボーダーラインを超えることができないもどかしさよりも、この舞台の持つ極めて強度な芸術そのものへの批評性、政治への批評性、そして社会への問題意識とそれをアートとして巧妙に、しかも脱力のまま昇華させているスマートさに、観客は一瞬も途切れることなく集中力を張り詰めさせる。その観客の連帯感は、今、ここベイルートで、この作品を共有することの切実さというものに由来するに違いない。
と、そのとき突然、リナのシルエットを映し出しているはずのスクリーンに、いわゆるDVカメラのバッテリー切れの青い画面が!! うわああー・・・・ 2~3分はそのままラビアの語りが続いたが、そのまま続行は演出上不可能となり、いったん中断してラビア、DVカメラに走る・・・・。突然の停電などはベイルートではよくあることだそうが、なぜDVカメラだけ・・・・? っていうか、コンセントに繋いでなかった?? 結局延長コードを持ってきてDVカメラに繋ぐという、超ローテク作業に突入。その一部始終を観客が見るという、ベイルートなら微笑ましいが、東京だったら切腹もののアクシデントにもめげず、舞台はますますラジカルに、ますますスマートな過激さと挑発さに満ちていった。「ビオハラフィア」「Missing the Emploiee」とあわせ、3部作として、それぞれに相補的な関係性にあるこの作品、まさにこういう作品を観たかったのだと思った。超満員の観客もスタンディング・オベーションで熱狂的に答える。ここ、ベイルートで、このような作品を観られることの、奇跡のようなものに感動する。
終わったあと、ラビアが言った。「あの程度のアクシデントで済んでよかった・・・スタッフは誰も最後まで問題なく上演できるとは思ってなかったから。。。みんなミラクルだと言っているし」・・・・ゆ、ゆるい。

打ち上げでは、D.Iの映画監督エリア・スレイマンや主演女優のマナル、来週から始まる東京フィルメックスに参加する映画監督カリル・ジョレイジュ&ジョアン・ハジトゥーマといったアラブ世界の逞しき表現者たち、さらに世界中から集まった多くの劇場関係者が集まり・・・でもやっぱりゆるい感じが楽しい。
by smacks | 2005-11-17 23:32 | ■TIF07-レバノン

ここはベイルート?

ナントの人々を空港で見送るはずが、なぜか自分も同じ便にのって出張に出ることに。。。。せめて違う便にしたかったのが、なぜか猛烈に飛行機が混んでいて、この便しか予約できず。
しかもパリの空港で降りてからお別れの挨拶をしようと思っていたら、トランジットの関係でそれもあたわず。気がついたら離れ離れに。。。まあ皆様お疲れ様でした。
 
そして、ベイルートに到着した。またしても離陸・着陸時に猛烈に寝ていて起きると現地という状態。ナント・モードからベイルート・モードに頭を切り替えようとするも、なかなか自分がベイルートに到着したという実感が沸かない。出口で、TIF2004で招聘したアリ・シェリーくんが出迎えてくれる。

今回の3泊5日というレバノン強行出張の目的は2つ。
1)ZAWAYA(中東アラブ世界のネットワーク型アート誌)会議の出席
2)Home Works III (Askal Alwan - レバノン現代芸術協会主催のフォーラム型フェスティバル)への参加 

到着するなり、ホテルから徒歩30秒の劇場で早速ZAWAYAの会合に。ZAWAYAは、知る人ぞ知る、中東アラブ世界のアート誌。編集長のピエール・アビザーブ氏は既にTIFに二年連続で招待、毎度記事を書いてもらっている。今回は、この中東ネットワーク型アート誌の記者やスポンサー、コラボレーターが一同に介して、3日間に渡る集中ミーティングを行う。筆者もその東京のコラボレーターとして招待して頂いた。どんな小さなミーティングにもアラビア語・フランス語・英語の3ヶ国語同時通訳をつける徹底振り。スポンサーはフォード財団やヨーロッパの政府系財団など。到着早々相当密度の濃い議論に頭はぱんぱん。。。。
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夜はレバノン出身の作曲家トフィーク・ファルークのライブコンサート→打ち上げ。しかし本当にここはベイルート?という気持ちはまだ沸かない。
by smacks | 2005-11-16 23:20 | ■TIF07-レバノン

ナントの人々 in 東京

たまったメールなどに答えていたらほとんど眠れず朝を迎える。みなとみらい線で渋谷まで。ホテルに荷物を置いて、ボナンさんとブレーズ氏に付き合って、EUジャパンフェスストや国際交流基金など財団との打合せへ。何度も同じことを聞いているので、通訳もかなりテキパキできるようになる。というか、もう通訳じゃなくて私がいきなり日本語でプレゼンしてもいいくらい彼らの言うことをほぼ覚えてしまっている状態に。それにしても通訳をするときの一時的な集中力というのは相当消耗するもので、終わった後はぐったり、ボーっとしてしまうし、とてもお腹がすくので、半分死人のようになる。プロの通訳さんって本当に驚異的だと痛感。
夕方から銀座の資生堂ビルにて福原名誉会長主催の夕食会、というものに参加させていただく。我らが豊島区の区長も同席される。
日本とフランスにおける都市間のネットワーク構想について。ここまで偉い方々が揃うとほとんど具体的な話にはならないものだが、まあ少しずつ、少しずつ物事が動いていく様子。。。とりあえず、一人だけ桁外れに場違いな人間として傍観中。
by smacks | 2005-11-14 15:16 | ■仏・ナント市関連

「再考! 地域とアートプロジェクト」

朝からヨコトリを視察。川俣さんによる案内。2時間後、展示を観終えて、一番印象に残った作品は?と聞いたところ、多くが高嶺格と答えた。なるほど。

午後。シンポジウム。
予想どうり多くの方に来ていただくことができた。議論のライブ感を高めるため、通訳さんには申し訳ないが、原稿はないし、事前打合せも30分程度。それでも、まさにこちらが聞き出したかったことをピンポイントに展開してくれるインプロビゼーション能力の高さには脱帽。ディテールに入りすぎず、ジャン・ブレーズが考案して実現したプロジェクトの唯一性とそのモチベーションを語る。プロジェクトの目的がはっきりしている。それを達成するためのシナリオと方法そのものがクリエイティブというか、それまでの常識に捉われない自由な発想がある。そのシナリオをいったん書いたところで、あとはひたすら人々を説得に回る交渉力と熱意が必要となる。シンポジムでは言っていなかったが、河口プロジェクトを市議会で通すのに、200回も議員や行政関係者への説得ミーティングをこなしたという。
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ディスカッションでは、フランス人の観客も少なくなかったため日本語部分をマイクを通して通訳してもらう決断をした。そのため議論のライブ感がやや欠けたこと、結果的に時間が足りなかったことは主催者としてやや残念ではあったが、内容的にはとても満足のいくものだったと思う。ボナン氏の発言は、ロワイヤル・ド・リュクスやラ・フォル・ジュルネなど、ナントにまだまだある名物プロジェクトを紹介しつつ、これらのプロジェクトの背後にある文化行政の魂、ビジョンを語るものだった。ヨコトリのディレクターとしてではなく「アーティスト」として「人を育てること、人をつくること」を作品の制作行為そのものの中に組み込んでいくことをこれまでもこれからもやり続けたいという川俣氏の発言は非常にリアリティのあるもので、逆に人がいない、という慢性的な問題を浮き彫りにした。また司会をお願いした加藤さんは、横浜で現代美術・舞台芸術・音楽の毎年持ち回りトリエンナーレ構想を披露。2009年の横浜がどうなるのか、楽しみだ。

レセプション→打ち上げ。ANJのスタッフに助けられ何とか乗り切る。今やANJでは、若いスタッフがたくさん。とても助けられる。

その後深夜のBankART NYKにて。オープンしたばかりに3F部分を見せてもらう。リュー・ユニークの人々も場所の雰囲気や空間のポテンシャルに御満悦。

そしてまたホテルの横のバーにて、とても遅くまで。よせばいいのに・・・・
by smacks | 2005-11-13 15:14 | ■仏・ナント市関連

ナントの人々 in 横浜

朝7時にホテルを経ち、横浜へ。越後妻有を2日かけて回ってきたジャン・ブレーズのチーム総勢6名とも再合流。今回のシンポジウムに助成して頂いているアサヒビールに感謝(!)しながら昼食。
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それから大桟橋へお散歩に。これほど素晴らしいロケーションとデザインを備えるコンベンション・ホールがありながら、ほとんど横浜市の文化事業が行われていないことを残念がるナントの人々。

ヨコトリ会場にて川俣氏とミーティング。2007年ナントで計画中の河口プロジェクトについて、また明日のシンポジムについて。川俣さん「来年は一年間休業」宣言をするも、それは日本国内の話でナントではまたいろいろ働かされそう。。

夜はみんなで中華街へ。味の割りには高かったが、そんなものなのだろう。そして遅くまで近くのバーで飲む。みな疲れているのだから早く寝ればいいのに・・・・軽くTIF状態だなあ。
by smacks | 2005-11-12 15:12 | ■仏・ナント市関連

コミュニティシネマ in 金沢

ナント市の文化局長ボナン氏を連れて、金沢へ2泊.
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金沢ではコミュニティシネマ支援センターのフォーラムに参加。これが素晴らしいフォーラムで非常に勉強になった。企画者であるエースジャパンの岩崎さんや、シネ・モンドの土肥さんといった方々の、映画に対する情熱と、現状に対する強い危機感が、会議の内容に投影されている。コミュニティ・シネマとは、日本全国にある所謂ミニシアター系の映画館・映画関係者のネットワーク。都市の郊外にショッピングセンターに隣接する形でシネコンが次々と開発され、都市の中心部の映画館がどんどん閉館に追い込まれている。金沢では街の中心部に、ミニシアター系のシネ・モンドと、ポルノ館以外、すべて閉鎖してしまったという。信じられない状況だが、これが現実なのだ。また、タイの若手映画監督アピチャートポンさんともいろいろと話す機会に恵まれた。小野信二似のほんわかな外見とは裏腹に、既存の映像言語を壊す実験的な映像でカンヌでも、東京の誇る映画祭フィルメックスでも、極めて高い評価を受けている監督。「映画はやはり映画館で見てほしい。映画は映画館で見ることで初めて社会的な体験となる」ということを言っていたが、筆者にはやや耳の痛い話。料金は高いし時間はないし、映画館に映画を見に行くことがなかなか出来ない日常・・・というのは、東京で仕事をしている人にはほぼ共通する状況だろう。結局レンタルビデオ・DVDか、アマゾンで注文してみるということになってしまう。
街の賑わいと、映画。そこに、ボナン氏の講演が、またしても日本の文化関係者に勇気を与えることになった。ナントも90年代後半にシネコンが到来し、街の中心部の映画館が存続の危機に瀕した。そこで、市内の映画館関係NPOや美術館、劇場、アートセンター、教育系、社会活動のNPOなど12の団体を集結させ、シネ・ナントというNPOをつくり、彼らに町の中心部の映画館の運営を委託。その契約内容がとてもクレバーで①他の映画館の経営を圧迫しないため、新作は上映しない ②いわゆる作家系の映画を中心に、レトロスペクティヴや国・地域にフォーカスした芸術的な内容を優先 ③必ず映画館以外のほかの文化機関と協働した企画を行い、教育普及プログラムを重視する などを条件とした。
映画は日本でもフランスでも、産業=エンターテイメントのひとつとの認識が強く、文化政策の中で位置づけていくのが難しい分野。特にミニシアター系では、それまでの世代が極めて少ない収入でも「映画が好きだから」がんばってきてしまったため、次の世代が育っていないことも問題。

また金沢では21世紀美術館も再訪。「もうひとつの楽園」展では、極めて興味深い作品2つに出会う。

① ホワイトキューブの壁を毎日3ヶ月間磨き続け、とうとう壁が人影を映し出すほどツルツルに磨き上げてしまったという、ただそれだけだが驚異的な作品。鑑賞者は白い手袋をはめて、その壁をなでなでしながら鑑賞する。 
② 天井12メートルの高さから水滴が落ち、それがまるで精巧なガラス玉のように回転し回路をたどり円を描き、やがてバケツの中に戻っていくという、やはりただそれだけだけだが驚異的に美しい作品。
ただそれだけだが絶対的に美しい感動的な行為や造詣に出会おうということも、あるようでそんなにない体験なのかも知れない。これだけでも来た甲斐がある。

相変わらず21世紀美術館には地元の若者、子供、おじさん、おばさん、御老人までがたくさん集い、開放的な賑わいに満ちていた。この建築を手がけたSANNAには、今度フランスのランス市に建築されるルーブル美術館別館の設計が依頼された。ちなみにメッツ市にできるポンピドゥーセンターの別館は坂茂。

金沢では言うまでもなく、食道楽を満喫。蟹の解禁日とも重なり、蟹ミソ、白子など日本海の珍味に酔いしれる。これだけでも来た甲斐がある。

ということで、「これだけでも来た甲斐のある」ことが複数重なることが、文化による地域再生には必要不可欠な条件なのではないか。
① プロジェクトがある:そのとき、そこでしかやっていないプロジェクトがある(フェスティバルや展覧会、フォーラムなど)。
② 人がいる:それらのプロジェクトを実行する運営母体や組織があり、人が育っていく。
③ シンボルがある;都市のシンボルとして常時そこにあるハードがあり、常にそのソフトが進化し続けている(美術館、劇場、ホールなど)
④ プラス、何かがある:おいしいご飯、温泉、など
by smacks | 2005-11-11 22:05 | ■映画・映像系


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