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日々の仕事のこと、観劇・鑑賞記録、出張報告など、国内外の舞台芸術を中心としたアートおよびアートマネジメント全般がテーマです。
by smacks
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とうとう完成・・・(祝)ラジカル・ディアローグ・プロジェクト

ここ1週間、プログラマー板沢君、デザイナー原田君、そして翻訳の宇波さんとジェニファーに毎晩遅くまで(というか、0時以降から明け方まで)働いてもらった成果が、ようやく形になりました! 

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■椿昇プロデュース Radikal Dialogue Project II いよいよスタート
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http://anj.or.jp/una

イスラエルが建設を進める「分離壁」。
この壁にペインティングしたり、ミニチュアをつくったり・・・
いろんな楽しみ方が可能です。
ペイントして頂いた壁は、ウェブ上だけではなく、舞台公演が行われる
会場に展示する予定です!
世界中の方々からのアクセス、ご参加をお待ちしております。
下記、椿昇さんからのメッセージです。

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アーティストのツバキです。パレスチナに築かれ続けるアパルトヘイト
の壁をテーマにしたアルカサバ劇場の新作『壁-占領下の物語II』
初演の舞台美術を担当することにリンクして、「ラジカルダイアローグ
プロジェクト」をスタートいたします。
演劇を鑑賞するだけではなく、壁とは何かを考えながら壁に何らかの
行為を行うことによってのみ、世界の問題をジャーナリズムから自らの
身体に回復させ得るかもしれないとの思いから、プロジェクトを立ち
上げました。ウエブを通じて集められた参加型の作品は、公演会場に
組み立てられて、これから日本を皮切りに世界を巡回する演劇に帯同
いたします。一人で複数お送りいただくことも大歓迎いたします。
ぜひ世界の人々にこのメッセージを転送いただきますように、
また3月10日からの舞台ではポストトークも予定しておりますので、
世界初演の舞台にお集まりいただきますようお願いいたします。

プロジェクトURL
http://anj.or.jp/una公演案内
 http://tif.anj.or.jp/program/alka.php

2月26日     椿昇

[ENGLISH]
I am Noboru Tsubaki, a Japanese artist. We launch
“Radikal Dialogue Project” relating to my production
design at the world premiere of “The Wall - Stories Under
Occupation ?”, the new work created by Al-Kasaba Theatre.
The play deals with Apartheid walls being continuously build
in Palestine.

I expect that not only going to the theater but drawing
on a wall while thinking about the meaning of the wall will
alter in our thoughts that have been tamed by journalism
and force us to understand the global issue as our own issue.

This work will be created through your participation on the web.
Walls sent from all over the world will be assembled at
the theater and travel with the play of Al-Kasaba Theatre,
from Japan around the world.
Please send us as many walls as you like.

Please forward this message to your friends all over the world.
Hope to see many of you at the world premiere in Tokyo.
A post performance talk is scheduled for March 11.

URL of the project
http://anj.or.jp/una/
Information about the performance
http://tif.anj.or.jp/en/program/alka.php
February 26, 2005     Noboru Tsubaki
by smacks | 2005-02-28 23:07 | ■TIF05-パレスチナ

高校生のための観劇プログラム:その② in 男子校

筑波大付属駒場高校へ。世に言うエリート進学校。今日の生徒さんたちも一昨日同様1年生、1988年生まれ。若い!というか、まだバリバリ現役の「少年」たちだ。

当然のことながら、女子高校生とは全く違ったインターフェースを持つ彼らを攻略するのに、椿さんはかなり即物的なキーワードをちりばめた。はじめの一言は「PSPやってる人」。超ドメスティック&マニアックなアキバ系ネタあるいは受験ネタで攻めつつも、最後はトランスナショナルな視点でいわゆる「官僚予備軍」に揺さぶりをかけるという、神業・荒業のオンパレード。お見事!
筆者は前回同様、映像をオペレートしつつ、食べ物とパスポート・ネタについて解説。男の子でも意外と食べ物のときは反応良かった。
あと半月後、彼らはホンモノの舞台を観にやってくる。そのときの反応がまた楽しみ。
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神業・荒業の師匠、椿先生。男子生徒にもモテていた。マニアック話で。
by smacks | 2005-02-24 23:58 | ■TIF05-パレスチナ

クール&クレバー&クレイジー

朝、FEDEX便が届く。エルサレムの堀内さんが送って下さった『壁-占領下の物語II』の通し稽古ビデオがめでたく到着したのでした。
午後にANJオフィスに現れた椿さんと早速ビデオ鑑賞しながら、しばし感無量。椿さんが滞在中から現在にいたるまで彼らに伝え続けたことが、作品を支えるコンセプトになっているではないか! とはいえ、まだまだつめるべきところはたくさんあるので、ビデオを見ながら二人で作戦会議。

この芝居と平行して、椿さんのアートディレクションによるウェブプロジェクト Radikal Dialogue Project を制作中。昨日から空いた時間は椿さんもANJオフィスにはりついて、プログラマーの板沢君、デザイナーの原田君(in金沢)と作業中。筆者は彼らの尻をたたく係。(あと数日でアップ予定、乞うご期待!)

夜は今回パレスチナとチュニジアの公演の舞台写真撮影をお願いすることになった松島さん(実はご実家が有馬温泉の椿家とご近所さん)と、たまたま新宿に居合わせた椿さんの息子さんも合流、職安通りの焼肉店「大使館」で焼肉三昧。父親としての椿さん・・・いつにましてクール&クレバー&クレイジー? まさに、この親にしてこの子あり、なのでした。
by smacks | 2005-02-23 23:43 | ■TIF05-パレスチナ

高校生のための観劇プログラム:その① in 女子高

吉野さつきさんとANJ聖子嬢の企画によるエデュケーション・プログラム。
椿さんとANJ、YAMPスタッフ総勢10名が御茶ノ水大学付属高校に参上する。筆者個人としては、女子高に初めて足を踏み入れるので、結構緊張した。(ハズカシながら、高校も大学も昔は男しかいなかったバンカラ校の出身なのです・・・)

観劇前の事前授業でリアル・パレスチナを知ろう、という主旨。メイントーカーはもちろん我らが椿隊長。筆者は後方支援にまわり映像オペレートと話題限定のコメンテーター役をつとめる。
24年間女子高の先生だった椿さん、教壇にたったらもはやその芸は百戦錬磨。右に立つものなし。最強~~~

90分椿先生の炸裂トークでひとしきりパレスチナが終わった後に、出た質問ふたつ:
「なんでバッタなんですか?」
「エルサレムにはなんでピカチュウのお土産があるんですか?」

・・・・・思わず一同拍手(!)の質問。なぜならあまりにもすべての本質を突いているから。これだけパレスチナの話をしたのに、最初に一瞬見せたバッタしか脳裏に残らないという現象・・・いまや第一回横浜トリエンナーレのシンボルになったバッタちゃんは、もはや呪術的ともいえる偶像崇拝の対象としての絶大な魔力を持つのだった。
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(c) Noboru Tsubaki
by smacks | 2005-02-22 23:32 | ■TIF05-パレスチナ

(祝)skype開通! 電話はいつか無料になる

と思わせる出来事。このブログのコメントでいたさんから教えてもらった、噂のSkype。
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本日とうとうSkype(スカイプ)経由で、海外から電話がかかってきたのです! 
全く時差もないし、音声の乱れもない!これはかなり感動もの!ひょいっとワンクリックするだけで、相手のパソコンさえネットに接続していれば、原理的には電話となんら変わるところなし。もちろん通話料は無料。ソフトのダウンロードも、無料。また、多少料金を払えば、相手の固定電話にも破格の値段で電話ができる。ほんとうにいいことづくしで、何か裏がありそうな気さえしてしまう。が、おそらく技術的には、もはや電話はタダでかけられる時代になったということなのだろう。

一日のかなり長い時間をパソコンの前で過ごしている筆者にとって、いよいよパソコンと電話が一体化してゆく期待感は計り知れない! 
ぜひぜひ皆さんもSkypeをインストールして、電話代を節約しませんか? 
こちらからダウンロード→スカイプのID取得して下さい。ソフト以外に必要なものは、高速インターネットにつながったパソコンと、ヘッドセットだけ。

絶対スカイプを流行させて、これまで貧しい人々から高額の電話代を搾取してきたドコモやKDDIに復讐してやるのだ! と積年の恨みを晴らそうともくろむ筆者でした。
by smacks | 2005-02-20 23:30 | ■その他もろもろ

新作『壁』を見た初の日本人

午前2時半、そろそろ寝ようと思って最後のメールチェックをしたら、朝日新聞エルサレム支局の堀内さんから、「見てきました」というメールが入った。「『壁』を見る初の日本人観客となる栄に浴してきました。」という文面から察するに、アルカサバでは堀内さんの取材のために本番さながらの通し稽古が行われたようだ。(私が現地に行ったときも、私のため(だけ?)にイレギュラー公演をやってくれたアルカサバ・・・さすが太っ腹!) 速攻、感謝のあまり返信をしたら、今度は舞台写真を次々にメール添付で送ってくださった。それを見て、感謝と感動で興奮して眠れなくなってしまった・・・作品は着実に仕上がっているではないか! 
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              撮影:(c) 堀内隆 (朝日新聞エルサレム支局)

椿さんのコンセプト・デザインによる壁のセットを現地用にも再現、東京来日前夜の3月1日~3日には、パレスチナでのプレビュー公演を行うことも決定! 

午後からはTBSへ。外信部の記者さんと打合せで、パレスチナで撮影した写真や届いたばかりの舞台写真でプレゼン。記者さんはほぼ筆者と同世代と思われる女性の方で、これまでTBSが何度か特集として取り上げている「壁」問題、中東問題にも大変お詳しい一方、ラマラのエッフェル・スイーツ(注:ラマラ一番のお菓子屋さん)のアラブ菓子に強い興味関心を示されるかわいらしい一面も☆ とにかくとても熱心にお話を聞いてくださり、カンパニー来日時にはご取材頂けそうな感触。

オフィスに戻ると、せいこママをチーフとするCamo-Cafeの試食会が企画されていた。来週にはいよいよ「にしすがも創造舎特設劇場」こと体育館を劇場にしつらえて行われる『昏睡』の公演が始まるのだが、その最終日に行われる「昏睡カフェ」に出されるフードメニューの試作&試食会なのでした。
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カモ入り餃子スープと、こんすい焼き。激うま。そのココロは・・・当日のお楽しみです!
by smacks | 2005-02-18 01:41 | ■TIF05-パレスチナ

姫路へラマラへ、新作前進中!

昨夜は朝の3時まで椿さん(in 有馬温泉)や今回の壁プロジェクト全般のデザインをお願いしている原田さん(in 金沢)メールのやりとりをしていた。
そして朝8時30分、週1回の鍵開け当番なのでいつもより早めに起床し、自宅のパソコンをのぞくと、すでに椿さんから朝一番のメールが届いていた。椿さんはいったいいつ眠っているのだろうか? 今回の新作「壁」の美術プランも、いよいよ大詰め。もともと1月の時点で舞台上に巨大な「壁」を出現させることでアイディアは固まっていたのだが、それを強化ダンボールにするか、アルミの骨組みにプラスチックボードを貼るか、またその壁に何をどう描くかで、アルカサバや発注業者とのやり取りが続いていた。先週ようやく強化ダンボールを姫路のメーカに発注したのだが、まだ未確定要素はたぶんにあり、心理的には全くすっきりしない状況が続いていた。
そうこうしているうちに、(我ながらひどい)殺人的なスケジュールで翻訳をお願いしていた石井さんから日本語テキストがあがってきた!のが昨晩のこと。それから私も椿さんも台本を読み、何度かメールのやり取りをしながら練り、数時間寝て、ウェブで朝日一番パレスチナのニュースを読み、よいアイディアが浮かんできた!

今日のこの快調リズムには、もちろん仕掛けがある。実は今日は、パレスチナ訪問時にお会いした朝日新聞エルサレム支局の堀内隆さんが、ラマラのアルカサバ・シアターへの取材に行って下さる日なのだ。新作の稽古を取材、さらにジョージ・イブラヒムへのインタビューに超ご多忙な時間(記者たったお一人でエルサレムやガザからの情勢を毎日日本の朝刊に届けているのだから、さぞお忙しいことだろう)を割いて下さるということで、我々もこの日に向けて、翻訳や美術プランを急ピッチで進めたのだった。

パレスチナ時間11:00AM。堀内さんがアルカサバの門をくぐるころ、日本時間は17:00PM。椿さんから一通のメールがはいった。「今さっきメール添付でデータ送ったあと、、、なんと姫路まで高速ぶっ飛ばして壁紙と進捗状況を見てきました。バッチリ!!出来まっせ===」という痛快メール。フットワーク軽~ で、添付されていた写真がこちら。姫路にあるメーカーさんの工場。
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遠隔操作による創作活動でなかなか見えなかった着地点が、一気に射程圏内に入ってきた手ごたえあり!!の一日でした。
by smacks | 2005-02-17 23:50 | ■TIF05-パレスチナ

アライブ・フロム・レバノン-ハリリ前首相の葬儀

b0028579_246013.gifレバノン情勢が厳しい。
一昨日のレバノン元首相ハリリ氏暗殺 (しかも350キロもの弾薬を使った実に計画的・組織的な自爆テロによる)によって、レバノンでは極めて厳しい状態が続いている。(がもちろん日本のメディアは小学校での殺傷事件とホリエモン騒動で、中東の小国の情勢不安をほぼ無視。)今日はその葬儀が行われた。国葬をという現大統領の打診を、遺族はかたく拒否。その陰には鮮明な政治的対立がある。(もともとレバノンでは大統領はキリスト教徒から、首相はイスラム教徒から選出されることが決まっている。)そして一般大衆にもひらかれた葬儀に参列した人の数は、なんと推定100万人。岐阜県ほどの面積の国土に400万人しか人口のないレバノンで、100万人、つまり4分の1が参加した計算になる。(日本だと2100万人が参列する計算だ。)ハリリ氏の個人的な友人であったフランスのジャック・シラク大統領も夫人と参列した。反シリア勢力のトップだったハリリ前首相の暗殺テロには、シリアが関与したという見方が強い、と各メディアは報じており、また国連も4月までにレバノン国内に駐留するシリア軍の撤退を求める様相。以上ニュースのレジュメ。
昨年の東京国際芸術祭で招聘したレバノンのアーティスト、ラビア・ムリエからメールが届いた。なんとハリリ前首相は、彼の勤めるレバノン国営放送Future TVのオーナーだったそうで、暗殺以降の混乱状態がひしひしと伝わってくる文面。未曾有の混乱と悲しみ、想像を絶するヒステリー状態が国に広がっている、とラビアは語る。この狭い国土に、18もの宗派がモザイク状に折り重なり、国会議員から裁判官、さらに民間企業のポストまで、ありとあらゆるものを宗派間で分け合っているモザイク国家レバノン。そこに軍事的・政治的圧力をかけるシリアと、レバノン国内でも活発な活動を展開する親シリア勢力。しかもアラブ共通の敵国であるイスラエルとの紛争もくすぶり続けている。・・・ひとたびその均衡が崩れたとき、「レバノン人同士が倦むことなく血で血を洗いあったあの戦争」を、彼らはいやがおうでも思い出すのだろうか。「親シリア勢力は、敢えてこの均衡を崩すことで再びこの国に内戦をひきおこそうとしている」と指摘するラビアは、もう戦争はこりごりだという大多数のレバノン一般人の心情を代弁しているにすぎない。あの戦争を若くして体験した世代から、ようやく手ごたえの強固なアートが生まれ始めたレバノンで、また「アートどころじゃない」状況に逆戻りすることだけは絶対に回避しなければならないだろう。

去年の東京国際芸術祭で実現した国際共同製作『アル・ハムレット・サミット』。この作品には、シリア、レバノン、イラク、サウジアラビアといった国々の超一級の俳優たちが参加し、アラブ多国籍チームが誕生した。昨年10月のソウル公演に引き続き、今年6月のシンガポール芸術祭での公演も決まったと、演出家スレイマン・アルバッサームから知らせを受けた。しかしこのような状況下で、果たして役者たちは同じステージの上に立ち続けることができるのだろうか?
イスラエルVSアラブ世界、という分かりやすい対立軸の陰にある、我々日本人には理解しがたいアラブ国家間での錯綜した対立関係。一部の権力者たちが利権のために捏造しているこれらの対立を乗り越え、芸術家たちは何をするべきなのか? そして我々は彼らとともに何をすることができるのか? 中東プログラム2年目を目前に控え、筆者の胸中は混沌としている。

Future TVのニュースはこちらから。ニュース全編がストリーミングで視聴できる。
by smacks | 2005-02-16 23:25 | ■TIF07-レバノン

レバノン前首相ラフィク・ハリリ、テロに死す

昨日の「ルート181」でたどり着いた北の境界、レバノンで今日、国家を揺るがす大事件が起こった。
レバノン内戦終結後、12年間に渡ってレバノンの首相を務めてきたラフィク・ハリリ前首相がテロに倒れた。爆弾で車ごとぶっ飛び、巻き添えの死者・負傷者多数。内戦終結後最悪のテロだという。
レバノンのアートジャーナリスト、ピエール・アビザアブからは「これはレバノン民主主義の危機だ」というメールが早速届いた。レバノンでは、大統領はキリスト教徒、首相はイスラム教徒、国会議員の数も宗派によって配分されている。そして隣国の大国シリアは、レバノンに軍を駐在させ続け常に政治的介入・圧力をかけ続けている。シリア軍のレバノン駐留に反対していた前首相に対するこの蛮行だが、シリアの大統領も「これは犯罪行為だ」という声明を発表。・・・・おととい、内戦下の分断されたベイルートを舞台にした映画「西ベイルート」を見た後だけに、この、なんとも微妙な宗派間のバランスだけを頼りに成り立っている国家の行方が気になって仕方がない。(→Yahoo海外トピックス・レバノン

● 参考文献:「レバノンにおける舞台芸術の<起源>と<現在>」 ラビア・ムルエ (訳:岡真理)-舞台芸術07号 
by smacks | 2005-02-14 22:14 | ■TIF07-レバノン

『ルート181 パレスチナ~イスラエルの旅の断章』 

昨日に引き続き国際交流基金フォーラムにて開催中の「アラブ映画祭2005」プレイベントへ。会場は満員御礼状態で、350席はびっちりと埋まっていた。

『ルート181 パレスチナ~イスラエルの旅の断章』 
「南部」「中部」「北部」。全270分(4時間半)にも及ぶ脅威の超長編ドキュメンタリー。日本初上映。

47年に国連によるパレスチナ分割議決案[UN Rsolution 181]によってひかれた境界線「ルート181」を北上しながら、そこに住むイスラエル人、パレスチナ人にカメラを向けた超長編ドキュメンタリーなのだが、これが、とにかく、すごかった。

イスラエル人とは誰か? ユダヤ人とは誰か?
イスラエル建国以来60年の歴史とは何か。人々の記憶はどう保存・継承されているのか。
そして、そこにとどまり続けたパレスチナ人の生活とはどのようなものか。

知りたかったこと、特にパレスチナ訪問後にさらに深まった疑問に対するヒントが次々と出てきた。

ラマラを制圧するタンク(戦車)の上でカフカやレヴィナスについて文学談義を展開する若いイスラエル兵、母親のホロコーストを生き延びた体験を追憶しここ(イスラエル)に生きることの意味を再確認する男性、食べるためと壁建設に従事するアラブ系イスラエル人、などなど、50人は出てきただろうか。驚くべきは、インタビューを受けるイスラエル人の多様性。彼らのルーツはロシア、東ヨーロッパ、モロッコ、チュニジア、イエメン、エチオピア、アメリカ、などなど。それだけ多様な文化と過去を彼らだが、型で抜いたように自分が「ここに生きる」ことの正当性を主張し、家や財産を残して退去を余儀なくされたパレスチナ人たちに同情は示すものの、その事実と正面から向き合おうとはしない。
最後のシーンで、かつてチュニジアから移住してきたユダヤ人のおばあさんが、レバノンとの戦闘で失った息子を偲びながら「ここ(イスラエル)には生きる喜びがない」「シャロンもアラファトもいらない」と語っていたが、それこそ普通の人間の本音なのではないか。が、映画の大部分のインタビューではそんな素朴な見解は極稀で、人々はもっと自分の「ここに生きる」ことの正当性を声高に主張していた。そうしなければ、人類の歴史から一人残らず抹殺されようとしていた人々なのだ。

最後、撮影クルーの車はレバノンとの国境にたどり着き、映画は終わった。

こんなドキュメンタリーを本邦初公開してくれた(しかも全編で破格の1500円!)国際交流基金に、大感謝! 超充実の270分でした。この作品は4月のアラブ映画祭にも公開される予定なので、今回見逃した方は、ぜひぜひお運び下さい。
by smacks | 2005-02-13 23:55 | ■TIF05-パレスチナ


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