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日々の仕事のこと、観劇・鑑賞記録、出張報告など、国内外の舞台芸術を中心としたアートおよびアートマネジメント全般がテーマです。
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カテゴリ:■映画・映像系( 8 )

8月27日:ソクーロフ「太陽」、西野達「天上のシェリー」

銀座でアレクサンドル・ソクーロフ監督の映画「太陽」を観る。
日本では公開不可能といわれた、昭和天皇の、敗戦から人間宣言にいたるまでの日々を描いた作品。

噂どうり、観客は溢れていた。ごく普通の若い人たちが多い印象。そもそも、若い人で溢れる映画館を久しぶりに体験する。ソクーロフは昔から好きで六本木の今はなきシネ・ヴィヴァンとかで観た記憶があるのだけれど、当時の客席から比べるとありえない盛況ぶりだ。

天皇を演じたイッセー尾形、やばすぎるほど凄い。佐野史郎や桃井かおりも素晴らしく。そして脚本、映像、音響、どれをとってもきわめて精緻で繊細で美しい。ここまでディテールとテクスチャーにこだわって「現人神」と呼ばれた人物とその背後にある大きな物語を、史実に逃げずに個人史として描いた日本人俳優たちとロシア人スタッフの仕事を前に、しばらく席を立てないほど衝撃を受けた。

そしてこの美しい映画を勇気をもって日本に配給した人々の苦悩と奔走を想像し、ますます席を立てなかった。

こういうフィルムこそ、劇場で見る意味があるので、まだご覧になっていない方はぜひ。

ついでに行った銀座・エルメスでやっている西野達「天上のシェリー」展もかなり気が狂っていて良かった。レンゾ・ピアノのエルメス・ビルのてっぺんに出現したある「部屋」とそのお客さん「花火師」・・・8月31日まで。必見。

あー、なんか日曜日はこうでなくては、という銀座の一日でした。満足。
by smacks | 2006-08-27 00:33 | ■映画・映像系

ヴェンダース夫妻

ニュース23を観ていて。あり得ないほど美しく素敵な初老の欧人カップルが日本の下町を歩いている。うーん、まさに理想的なカップルだ、と思ったら、ヴィム・ベンダースと奥さんのドナータ・ヴェンダースだった。そっか、来日しているのでした。展覧会は5月7日まで。。。いけないかも(涙)。でも、何とかいきたいなあ。それにしても、「あなたにとってのホームとは?」という筑紫哲也の質問に、「ドナータだよ」と即効答えていたヴィム。ますます好きになった。
by smacks | 2006-04-28 01:59 | ■映画・映像系

ペドロ・アルモドヴァル監督「トーク・トゥー・ハー」

スペイン出身の映画監督、ペドロ・アルモドヴァル監督の「トーク・トゥー・ハー」。ずっと観たいと思いつつ機会を逃していたこの作品を、ふと思いたって鑑賞。

と、まず冒頭のシーン、先日東京で観たピナ・バウシュの「カフェ・ミュラー」で、夢遊病者のように踊るピナの姿が。デジャヴュ状態。

続いて、ここ1年くらい筆者が個人的に聴き狂っているカエターノ・ヴェローゾ、主人公の夢のシーンで、あの魅惑的な声音を響かせている。プールサイドで歌うカエターノ。その表情。うう、私の夢にも出てきて欲しい。。。

そして、ラストの舞台シーン。先日、六本木で一緒にサルサを踊ったダンサーたちが踊っている。。。あらまあ。

なんというか、結構いろいろなことは偶然にも必然にもどこかで繋がっていて、そういう繋がりを発見した瞬間が、最近とても嬉しい。

作品そのものもとてもよくて、二度続けて観た。好きな映画は何度も観てしまう。お陰で朝はほとんど起きられないが。スペイン語も少し身近になった。
by smacks | 2006-04-24 02:08 | ■映画・映像系

愛の世紀

渋谷のイメージ・フォーラムで、ゴダールの「愛の世紀」。Eloge d'Amour を観る。
この甘いタイトルにだまされてはいけない。痛烈なアメリカ批判に、うなる。
それにしても、映画館で久しぶりに映画を観た。それはやはり素敵なことだ。
by smacks | 2006-04-13 23:29 | ■映画・映像系

コミュニティシネマ in 金沢

ナント市の文化局長ボナン氏を連れて、金沢へ2泊.
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金沢ではコミュニティシネマ支援センターのフォーラムに参加。これが素晴らしいフォーラムで非常に勉強になった。企画者であるエースジャパンの岩崎さんや、シネ・モンドの土肥さんといった方々の、映画に対する情熱と、現状に対する強い危機感が、会議の内容に投影されている。コミュニティ・シネマとは、日本全国にある所謂ミニシアター系の映画館・映画関係者のネットワーク。都市の郊外にショッピングセンターに隣接する形でシネコンが次々と開発され、都市の中心部の映画館がどんどん閉館に追い込まれている。金沢では街の中心部に、ミニシアター系のシネ・モンドと、ポルノ館以外、すべて閉鎖してしまったという。信じられない状況だが、これが現実なのだ。また、タイの若手映画監督アピチャートポンさんともいろいろと話す機会に恵まれた。小野信二似のほんわかな外見とは裏腹に、既存の映像言語を壊す実験的な映像でカンヌでも、東京の誇る映画祭フィルメックスでも、極めて高い評価を受けている監督。「映画はやはり映画館で見てほしい。映画は映画館で見ることで初めて社会的な体験となる」ということを言っていたが、筆者にはやや耳の痛い話。料金は高いし時間はないし、映画館に映画を見に行くことがなかなか出来ない日常・・・というのは、東京で仕事をしている人にはほぼ共通する状況だろう。結局レンタルビデオ・DVDか、アマゾンで注文してみるということになってしまう。
街の賑わいと、映画。そこに、ボナン氏の講演が、またしても日本の文化関係者に勇気を与えることになった。ナントも90年代後半にシネコンが到来し、街の中心部の映画館が存続の危機に瀕した。そこで、市内の映画館関係NPOや美術館、劇場、アートセンター、教育系、社会活動のNPOなど12の団体を集結させ、シネ・ナントというNPOをつくり、彼らに町の中心部の映画館の運営を委託。その契約内容がとてもクレバーで①他の映画館の経営を圧迫しないため、新作は上映しない ②いわゆる作家系の映画を中心に、レトロスペクティヴや国・地域にフォーカスした芸術的な内容を優先 ③必ず映画館以外のほかの文化機関と協働した企画を行い、教育普及プログラムを重視する などを条件とした。
映画は日本でもフランスでも、産業=エンターテイメントのひとつとの認識が強く、文化政策の中で位置づけていくのが難しい分野。特にミニシアター系では、それまでの世代が極めて少ない収入でも「映画が好きだから」がんばってきてしまったため、次の世代が育っていないことも問題。

また金沢では21世紀美術館も再訪。「もうひとつの楽園」展では、極めて興味深い作品2つに出会う。

① ホワイトキューブの壁を毎日3ヶ月間磨き続け、とうとう壁が人影を映し出すほどツルツルに磨き上げてしまったという、ただそれだけだが驚異的な作品。鑑賞者は白い手袋をはめて、その壁をなでなでしながら鑑賞する。 
② 天井12メートルの高さから水滴が落ち、それがまるで精巧なガラス玉のように回転し回路をたどり円を描き、やがてバケツの中に戻っていくという、やはりただそれだけだけだが驚異的に美しい作品。
ただそれだけだが絶対的に美しい感動的な行為や造詣に出会おうということも、あるようでそんなにない体験なのかも知れない。これだけでも来た甲斐がある。

相変わらず21世紀美術館には地元の若者、子供、おじさん、おばさん、御老人までがたくさん集い、開放的な賑わいに満ちていた。この建築を手がけたSANNAには、今度フランスのランス市に建築されるルーブル美術館別館の設計が依頼された。ちなみにメッツ市にできるポンピドゥーセンターの別館は坂茂。

金沢では言うまでもなく、食道楽を満喫。蟹の解禁日とも重なり、蟹ミソ、白子など日本海の珍味に酔いしれる。これだけでも来た甲斐がある。

ということで、「これだけでも来た甲斐のある」ことが複数重なることが、文化による地域再生には必要不可欠な条件なのではないか。
① プロジェクトがある:そのとき、そこでしかやっていないプロジェクトがある(フェスティバルや展覧会、フォーラムなど)。
② 人がいる:それらのプロジェクトを実行する運営母体や組織があり、人が育っていく。
③ シンボルがある;都市のシンボルとして常時そこにあるハードがあり、常にそのソフトが進化し続けている(美術館、劇場、ホールなど)
④ プラス、何かがある:おいしいご飯、温泉、など
by smacks | 2005-11-11 22:05 | ■映画・映像系

アラブ映画祭2005

4月16日(土)
アラブ映画祭@国際基金フォーラムへ。

観客の中に、TIFの中東プログラムのお客様として見かけた人を、かなり発見。コアなアラブ文化ファンが日本にも増えつつあることを実感、というか、恐らく筆者がその存在にようやく気がつき始めたところなのだろう。

自宅に帰った後に3月19日に行われたトークセッション「アラブで今、演劇的であること」のテープおこしをする。ピエール、話すの早くて、長いよ・・・結局、遅々として進まず。。しかしこのトークの内容は極めて興味深い話題を多く含んでいたことを再確認。が、活字にするまでの道のりはとても長い。
by smacks | 2005-04-16 23:55 | ■映画・映像系

リアルなアラブを伝える二人の先駆者

国際交流基金主催の「アラブ映画祭2005」プレイベントに行って、キャッチした二人のアラブ映画専門家。
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シリア出身で中東メディアのレポーター兼映画研究家のナジーブ・エルカシュさん(しかも日本語超ぺらぺら!)と、アラブ映画研究家で自らも「リアル/アラブ映画祭」の代表を務める佐野光子さん。
ナジーブさんは「世界メディアにおける「イラク」、中東メディアにおける「イラク」」と題して、佐野さんは「レバノン映画史」を巡って、映画上映にさらなる深みを与える情報満載の講演を行ってくださいました。
実はお二人は昨年のTIF中東シリーズ以来、何かとご相談にのって頂いている、筆者の貴重なアラトモ(注:アラブの友達?)。多様で濃密、リアルで等身大のアラブ世界を、映画を通じて伝えてくれる先駆者たちに期待大!なのでした。
by smacks | 2005-02-12 23:42 | ■映画・映像系

映画も中東!東京フィルメックス

第5回東京フィルメックスへ行く。我々と同じ特定非営利活動法人(NPO法人)の運営による数少ないフェスティバルのひとつで、10月に開催されていた東京国際映画祭に比べかなりアート寄り・社会派の映画祭だ。特に今回のコンペティションはアジアの新進作家10名10作品がセレクションされていて、その中でもレバノン、イラン、イスラエルといった中東の国々からの参加が10作品中5作品を占めているのは興味深い。プログラム担当の方が「特に中東というテーマを設定したわけではないが、アジアの面白い作品を選んでいたら自然と中東のものが多くなった」と語っていたが、状況は演劇と同じようだ。
本日は「中東映画の現在」というテーマで3名の監督が映画製作をめぐる状況について簡単なトークを行った。アート系・社会派の映画製作に対して、国からの援助はまったくない。フランスなど映画大国との共同制作という形で作品を作り、国際映画祭への参加上映を経て国際的な地位を築いていく以外に、彼らが映画監督として生き残る道はない。これまた演劇とまったく同じ状況である。
今日見たレバノン出身・ダニエル・アルビッド監督作品「戦場の中で」は、レバノン内戦時の83年ベイルートが舞台となっている。主人公の少女にとって、内戦は爆撃の音という抽象的で遠い存在として描かれる一方、家族内の残酷な体験が内戦という社会背景の中で濃密かつみずみずしく描かれている。ちょっと恥ずかしいまでの映画的レトリックを多用している感もあるが、何か、とても地に足のついた強さがある。それは役者のほとんどが、実際に内戦を生きた普通の人々、つまりプロの役者ではない人々ということと関係があるように思えた。監督自身は70年生まれの美しいアラブ・パリジェンヌであった。

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ちなみにこの写真、上映後にスタッフさんが持っていた「観客賞」投票ボックス。
スタッフ皆さんおそろいのagnes.b シャツも可愛かったです。
by smacks | 2004-11-24 23:54 | ■映画・映像系


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