smacks dialy

日々の仕事のこと、観劇・鑑賞記録、出張報告など、国内外の舞台芸術を中心としたアートおよびアートマネジメント全般がテーマです。
by smacks
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カテゴリ:■TIF07-レバノン( 51 )

7月17日:パリはレバノンとの連帯を掲げる

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本日のル・モンド紙の一面。Paris affiche sa solidarite avec le Liban 「パリ(=仏政府)はレバノンとの連帯を掲げる」
昨日、シラク大統領からの要請を受けドゥヴィルパン首相がベイルートを緊急訪問。これまでもレバノンの独立のためにあらゆる介入と支援を行ってきたフランス。どのメディアも、7月13日以降、レバノン危機を大々的に報じ続けている。

これまで2度イスラエルを訪問し、多くのイスラエル人と仕事をしてきた。個々人に対する尊敬や友情は深い。しかし、だからこそ、イスラエルという「国家」の暴挙に、はっきりとNOと言い、一刻も早くこのような破壊行為、殺戮行為をやめて頂きたい。ヒスボッラは確かに危険で過激な武装組織であるが、彼らはレバノンを代表しない。国家を代表しない武装組織からの攻撃に対し、なぜイスラエルは、レバノンという国家そのものを、堂々と破壊しているのか。そんなことが許されていいのだろうか。空港、幹線道路、橋、発電所・・・国家の動脈をすべてずたずたに破壊し、益々ヒスボッラの過激な反撃を煽り、一般市民を殺戮するイスラエル。そんなイスラエルこそ、テロリスト国家に違いない。理由もなくテポドンを飛ばし東アジアの安定に揺さぶりをかける北朝鮮と、「セキュリティ」「自衛」を理由に隣国を極めて残忍な方法で抹殺するイスラエルに、大差はないだろう。日本のメディアも、北朝鮮がテポドンを飛ばしてきたのと同じくらいのインパクトと憎悪を持って、このテロリスト国家イスラエルを糾弾すべきなのではないか。

このブログではこれから毎日、手元にたまってきた、レバノンのアーティストたちからのメールを翻訳し、紹介していこうと思う。
by smacks | 2006-07-17 22:59 | ■TIF07-レバノン

7月14日:レバノンは戦争状態にある

今朝アヴィニオンに到着した。が、そんなことはどうでもいい。

レバノンは極めて深刻な事態になっている。イスラエルは、ヒスボッラへの攻撃を口実に、レバノン各地を爆撃。もはや、これを戦争といわず、なんというのだろうか。

レバノンのアーティスト、ラビア・ムルエからメールが届いた。今日の時点ではまだメールできているようだ。彼は国立のテレビ局にも勤務しているので、まだなんとかなっているのだろうか。しかし、空港が破壊され、ヨルダン国境へと抜けるハイウェイや、イスラエル国中の主要ハイウェイが破壊され、ベイルート中はずっと停電しているようだ。

レバノンのインフラを破壊し続けるイスラエル。空港の滑走路が破壊され、唯一の陸路であるシリアへのハイウェイが破壊されてしまった今、レバノンは物理的に孤立に追い込まれている。

早速、チュニジアのアーティスト、ナウェル・スカンドラーニからこんなメールがきた。以下、自由に転送・転用していただきたい。

Dear people,

Israel is attacking our country in a weird disproportionate way.
Shelling, raids, villages torn, infrastructure being destroyed. we need
to act in any way. What can be done:

1) use the attached graphic on your websites / blogs / or by mail
2) contribute to http://lebanonunderattack.wordpress.com/ to update constantly
the information, and spread the blog in the whole world for all to see.
Israel's media campaign is called "War in the North". They nearly seem
like total victims. They are working hard. We shall work hard also to
dismantle mis-information.

Anyone interested in contributing to the LEBANON UNDER ATTACK blog
should open a wordpress.com account, and mail me the mail address he
used to sign in at w.maouad@gmail.com.

Thank you for your attention, do forward this mail to all people you

know [especially interested ones, and possible contributors].
by smacks | 2006-07-14 23:28 | ■TIF07-レバノン

7月13日:レバノン危機

20時過ぎにパリ市内に到着。一泊。
友人と、いつも良くいくパリで一番おいしいレバノン料理レストランに行く。

そこで信じられない事実を耳にする。
今日、イスラエルが、レバノンを攻撃した。戦争がはじまったという。

レバノン南部でイスラム教過激派組織ヒスボッラがイスラエル軍と衝突、人質をとる事態になり、イスラエル軍はレバノン国内のヒスボッラの拠点を攻撃。ベイルート南部のヒスボッラのテレビ局も爆撃された。再び、戦争は始まってしまうのだろうか。

イスラエルからレバノンへ。昨年11月下旬から12月上旬、10日間の間隔をおいて訪問した二つの国。その、美しい地中海に面する二つの小さな国。私はその両方の国の、素晴らしいアーティストや芸術関係者を多く知っている。

来年3月に予定されているレバノンのアーティスト、ラビア・ムルエとの共同制作による新作に、大きな影響が出てくることが予想される。
by smacks | 2006-07-13 23:26 | ■TIF07-レバノン

ベルリン/ベイルート

なぜか斜めっている、ここはどこでしょう? 
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雪に覆われた、ベルリン、ドイツ。今さっきベルリンからスカイプ経由で電話をかけてきた、レバノンの演劇評論家ピエール・アビザーブさんが、電話をかけながら撮影したものを、スカイプ経由で送ってくれた。10分ほど前のベルリンの風景。・・・・さむい&さみしい。

明日から、ベルリンのヘッベル・シアターにて、レバノンをはじめとする中東アートのフォーラム型フェスティバルが開催される。その名も「MIDDLE EAST NEWS ON CULTURE AND POLITICS」。キュレーターはかつてカッセルのドクメンタの総合芸術監督も務めたあのカトリーヌ・ダビッド。

ベルリン/ベイルート
つい15年前まで、東と西に分断されていた二つの都市。
この2つの都市に今、我々を強く惹きつけるアートがあることは恐らく偶然ではない。

この雪が溶けたら、ベルリンにも行ってみたいなあ・・・
今年のTIFでもベルリンは熱い。ベルリンで大評判の舞台「エミーリア・ガロッティ」が3月に来日します。こちらもぜひ。
by smacks | 2006-01-19 01:52 | ■TIF07-レバノン

ベイルートの夜は続く

つい数日前ベイルートで会ったレバノンの映画監督カリルとジョアンナに東京で再会する。二人は、現在開催中の東京フィルメックス2006コンペ参加している新作長編「完全な一日」の監督である。
マザコンで、彼女にも相手にされず、しかも無呼吸症に悩まされ突如死んだように眠りだす若い男のストーリー。ベイルートの町での撮影は、そのままエキストラなしで行われたというだけあり、あの街の表情がよく出ている。・・・・その、あまりにもベイルートな風景の中に、ちょい役で出演するラビア・ムルエを発見。。。友情出演? 恐るべしベイルートのアートコミュニティ。
彼女に逃げられ、酔っ払っているうえに、彼女が車に忘れていったコンタクトレンズをつけて、ますます視界が朦朧としながら、車を走らせる男の目に映るベイルートの夜が、あまりに美しく。
上映後のトークで、ジョアンナの言葉がとても印象に残った。ベイルートの人々が夜遊びが好きで、夜こそを生きようとするのは、ある種の戦争後遺症なのだと。あの爆撃の日々を毎晩のように過ごしたレバノン人は、いまだに夜落ち着いて寝ることができないのだ、と。
by smacks | 2005-11-24 03:18 | ■TIF07-レバノン

ベイルートのアートコミュニティ

気がつくと今日がレバノン最終日。。。やはり3泊は短い。午前中、少しだけ町の中を散策。カイロ、チュニス、アンマンなど中東のほかの都市と比べて、私はなぜかベイルートがずっと進んでいるのではないかという幻想を持っていた。しかし現実には、15年の内戦の傷跡は、あまりにも大きいことを知った。町のダウンタウンに、廃墟と化した建物、弾丸を浴びてぼろぼろになった建物があまりにも多すぎる。それが、内戦の集結した15年後にも当たり前のように残っているのである。
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ラビア&リナと昼食。地中海に面した素敵なレストランに連れて行ってもらう。今回の検閲騒動は、「恐ろしくはない。単にめんどくさいだけ」と言い放つ。つまり芸術的あるいは政治的な内容そのものについて問題を指摘されているわけではなく、あくまで表面的な表現が問題となっているのだ。とにかく今日、明日はウィークエンドなため何も出来ない。公演当日の月曜日に検閲局へ行って折衝をすることになっている。今後のことについても、いろいろと話す。そこへ、日本でも知られているレバノンのビデオ・アーティストのアクラム・ザタリが登場。未だに携帯電話を持つことを拒否しているラビアとリナに緊急のメッセージを伝えにきたという。。。涙。

この短いベイルート滞在で最も感慨深いことは、この、ベイルートにおけるアーティスト同士の連帯関係であるといってよい。ラビア、リナを筆頭に、映画作家やビジュアル・アーティストたちが互いに助け合い、議論を重ね、相手の作品の創作のプロセスにも影響を及ぼし、全体としてひとつの芸術コミュニティを形成していることである。例えばあのD.I.のエリア・スレイマンはラビアの作品の英訳を手伝ってあげたり、ラビアはジョハンナ&カリリという来週から日本のフィルメックスにも招待されている映画作家の作品に役者として登場したり、挙句の果てには今晩のアリ・シェリーの字幕オペレートをやってあげたり。。。。。お互いがお互いの作品に影響を与え合い、必要があれば手を貸し、刺激しあう。しかも彼らは、演劇、映画、ビジュアルアート、音楽と、あらゆるジャンルを軽々と横断しながら、お互いの力となっていく。この、岐阜県ほどの小さな国土、道を歩けば必ず知っている人に会ってしまうほどの小さな街で、このような芸術コミュニティが存在し、その小さなコミュニティから世界最高レベルの作品がぼんぼんと出てきているのだ。
またこれらのアーティストのほとんどが、アーティスト業以外に生活を支えるための仕事を持ち、その合間を縫って絶え間なく作品を作り続けているということ。ラビアたちにしても、これだけ世界中で有名なアーティストになった今でも、リハーサルのための劇場を借りることなど不可能で、本番直前まで自宅のアパートでリハーサルをしているという。。。涙。

午後からHome Works III の短編映像作品上映、シンポジウムに引き続き、アリ・シェリーのパフォーマンスが行われる。アリ・シェリーはTIF2004で招聘したラビア&リナの「ビオハラフィア」で、アニス酒を使った巧妙な舞台装置と映像を担当したアーティスト。今日の作品が彼の初パフォーマンスとなる。とてもセンスよい出来。今後がとても楽しみでならない。ちなみに、ラビア君はなんとオペレーションルームで英語字幕を出していた・・・世界で活躍する新進気鋭のアーティスト、また自分の検閲騒動の渦中にいて忙殺を極めるアーティストが、レバノンでは字幕だしもやる。どころか、字幕作成もやってあげていたらしい。・・・涙。

そんなかんなでレバノン3泊5日はタイムオーバー。検閲騒動の行方が気になって仕方がないが、夜中のベイルートをあとにした。
by smacks | 2005-11-19 23:49 | ■TIF07-レバノン

Who's afraid of censorship ? 検閲、ベイルート

昨夜の打ち上げに遅くまで残りすぎ、猛烈に疲労・・・さすがに連日の疲れがたまってしばしホテルでぐったりと。
午後からZico House をたずねる。ベイルートの中心部にあるアーティスト・イン・レジデンス&ギャラリースペースで、Zico=ムスタファさんというベイルート・アートシーンの影の立役者の所有するメゾンである。今はレバノンのアーティストのインスタレーションを展示中。トイレにも。↓
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再びHome WorksIIIの上映やシンポジウムのため劇場に戻ると、ラビアに会う。なにか顔が深刻。昨日の公演が検閲にひっかかり、来週月曜日に公演する予定の2回目の公演が中止されるかも知れないという。話によると、昨日の公演の観客にまぎれて検閲局の担当者が会場に潜入、テキストの卑猥で下品な表現、政治的なコノテーションなどをチェック、朝一番で電話による通達に及んだという。レバノン政府には検閲局というものがあり、作品の内容そのもの、芸術性うんぬんではなく、表面的なレベルで卑猥な表現や政治的に過激な内容を検閲している。
これまでもビオハラフィアなど、かなりスレスレの作品をベイルートで上演してきたラビアだが、今回のように検閲局から直接ストップがかかるのは初めてで、かなり当惑気味。しかし今日は金曜日。明日、明後日と週末なので何もできない。今すぐZico House に行って、テキストをプリント・アウトして郵送で提出することに。その際ひそかに自己検閲をかけているあたりが、なんとも涙ぐましい。しかし公にはテキストを変更・削除するつもりはもちろん一切ない。とにかくテキストを提出し、月曜日朝一番で検閲局へ劇場の責任者、フェスティバルの責任者、そしてラビア本人が出向き、ヒアリングが行われることに。検閲局の禁止を押し切って上演すれば、客席にいる検査官が公演そのものを力づくでも中止することができるという。しかしそんなことをすれば、レバノン国内はもとより、世界中から集まっている芸術文化関係者を前にレバノン国家の民主主義が疑われる。
英語字幕を追う限り、それほど過激な印象は受けなかったが、アラビア語を直接解する人は総じて、「いや、スレスレだった」という反応。やはりローカルなコンテクスト、ローカルの言語の中で発せられる言葉というのは、強烈なのだ。
それにしても、なんだか凄いことになってきた。。。このニュースは瞬く間にべイルートのアートコミュニティを駆け巡り、話題騒然となっている。「とにかく当日劇場に集まって、抗議活動を!」と呼びかける関係者も続出。(しかし強行に公演してラビアが刑務所にでも行ったら、筆者はとても悲しいし困ります)
・・・・期せずして、レバノン芸術史における伝説的な公演に居合わせてしまったようだ。
by smacks | 2005-11-18 00:24 | ■TIF07-レバノン

Who's afraid of representation?

滞在しているホテルは、レバノン内戦中に国外からのジャーナリストが集められていたというホテルで、そのせいかどうかは知らないが、やたら通信状態がよい。部屋から簡単に高速インターネットに接続できる。。。ため、ついつい仕事をしてしまう。

チュニジアのダンスフェスティバルのディレクター、パレスチナのハルサカキーニ文化センターの元ディレクターの方とミーティングをしているうちに日が暮れて来る。。。このままでは今日もベイルートに来た実感が沸かないまま終わってしまう! ということで、ちょっとだけお散歩に。地中海まで歩ける距離!
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郊外のギャラリースペースで行われる展覧会のオープニング。今日から始まるHome Works III のオープニングも兼ねている。かつてパレスチナ難民キャンプがあった郊外の工業地帯の、一見工場としか見えない建物の4Fに、秘密のアジトのように、広大なギャラリースペースはある。
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Askal Alwan―レバノン現代芸術協会は、クリスティーヌ・トーメさんという超やり手のレバノン人キュレーターがディレクターを務めるNPOであり、その活動はレバノン在住・あるいはレバノン出身の先鋭的なアーティストを発掘し、プロデュースし、海外に紹介し、各種出版やシンポジムまで、多岐に渡る。TIF2004で招聘したレバノンのアーティスト、ラビア・ムルエもこのNPOの存在がなければ今世界のトップアーティストにはなっていなかっただろう。

そのラビア・ムルエによる新作「Who's afraid of representation?」レバノン初演。400席のホールは超満員、立ち見をぎゅうぎゅうに入れても会場に入りきれない人が大勢出るほどの、大盛況。入場料は無料。というのも、検閲局に申請をしていないので公式な公演扱いをすることができないからだ。
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ベルリンのヘッペル・シアター(HAU)、パリのCND(国立ダンスセンター)、ウィーンのTanzQuartier Wien による共同製作。2005年2月ベルリン初演。
2005年2月といえば、レバノンでハリリ首相が暗殺されたのが2月14日。
舞台には映像を投射するスクリーンと、1人がけの小さなテーブルと椅子だけ。ラビアは椅子に座り、リナは机の上のカタログを手にする。任意に開いたページに掲載されているアーティストの名前を読み上げる。例えば、マリーナ・アブラモヴィッチ。ページ数は25ページ。リナはスクリーンのほうへ向かい、そこに彼女のシルエットがリアルタイムに映し出される。ラビアは「スタート」といってストップウォッチを押す。25秒間、リナはアブラモビッチのディスクールを読み上げる。25秒が経過するとラビアは「ストップ」とこのプレイを中断させ、リナはまた机のほうに戻ってくる。このプレイを基本として、20世紀の偉大なアーティストの名を借りて次々と展開する極めて挑発的なテキストに、観客は時に爆笑し、時にしんと静まり返る。英語の字幕を追ってもなかなかピンと来ないのは、やはりレバノンのローカルなものへのコノテーションが多いからだろう。しかし、こういった理解のボーダーラインを超えることができないもどかしさよりも、この舞台の持つ極めて強度な芸術そのものへの批評性、政治への批評性、そして社会への問題意識とそれをアートとして巧妙に、しかも脱力のまま昇華させているスマートさに、観客は一瞬も途切れることなく集中力を張り詰めさせる。その観客の連帯感は、今、ここベイルートで、この作品を共有することの切実さというものに由来するに違いない。
と、そのとき突然、リナのシルエットを映し出しているはずのスクリーンに、いわゆるDVカメラのバッテリー切れの青い画面が!! うわああー・・・・ 2~3分はそのままラビアの語りが続いたが、そのまま続行は演出上不可能となり、いったん中断してラビア、DVカメラに走る・・・・。突然の停電などはベイルートではよくあることだそうが、なぜDVカメラだけ・・・・? っていうか、コンセントに繋いでなかった?? 結局延長コードを持ってきてDVカメラに繋ぐという、超ローテク作業に突入。その一部始終を観客が見るという、ベイルートなら微笑ましいが、東京だったら切腹もののアクシデントにもめげず、舞台はますますラジカルに、ますますスマートな過激さと挑発さに満ちていった。「ビオハラフィア」「Missing the Emploiee」とあわせ、3部作として、それぞれに相補的な関係性にあるこの作品、まさにこういう作品を観たかったのだと思った。超満員の観客もスタンディング・オベーションで熱狂的に答える。ここ、ベイルートで、このような作品を観られることの、奇跡のようなものに感動する。
終わったあと、ラビアが言った。「あの程度のアクシデントで済んでよかった・・・スタッフは誰も最後まで問題なく上演できるとは思ってなかったから。。。みんなミラクルだと言っているし」・・・・ゆ、ゆるい。

打ち上げでは、D.Iの映画監督エリア・スレイマンや主演女優のマナル、来週から始まる東京フィルメックスに参加する映画監督カリル・ジョレイジュ&ジョアン・ハジトゥーマといったアラブ世界の逞しき表現者たち、さらに世界中から集まった多くの劇場関係者が集まり・・・でもやっぱりゆるい感じが楽しい。
by smacks | 2005-11-17 23:32 | ■TIF07-レバノン

ここはベイルート?

ナントの人々を空港で見送るはずが、なぜか自分も同じ便にのって出張に出ることに。。。。せめて違う便にしたかったのが、なぜか猛烈に飛行機が混んでいて、この便しか予約できず。
しかもパリの空港で降りてからお別れの挨拶をしようと思っていたら、トランジットの関係でそれもあたわず。気がついたら離れ離れに。。。まあ皆様お疲れ様でした。
 
そして、ベイルートに到着した。またしても離陸・着陸時に猛烈に寝ていて起きると現地という状態。ナント・モードからベイルート・モードに頭を切り替えようとするも、なかなか自分がベイルートに到着したという実感が沸かない。出口で、TIF2004で招聘したアリ・シェリーくんが出迎えてくれる。

今回の3泊5日というレバノン強行出張の目的は2つ。
1)ZAWAYA(中東アラブ世界のネットワーク型アート誌)会議の出席
2)Home Works III (Askal Alwan - レバノン現代芸術協会主催のフォーラム型フェスティバル)への参加 

到着するなり、ホテルから徒歩30秒の劇場で早速ZAWAYAの会合に。ZAWAYAは、知る人ぞ知る、中東アラブ世界のアート誌。編集長のピエール・アビザーブ氏は既にTIFに二年連続で招待、毎度記事を書いてもらっている。今回は、この中東ネットワーク型アート誌の記者やスポンサー、コラボレーターが一同に介して、3日間に渡る集中ミーティングを行う。筆者もその東京のコラボレーターとして招待して頂いた。どんな小さなミーティングにもアラビア語・フランス語・英語の3ヶ国語同時通訳をつける徹底振り。スポンサーはフォード財団やヨーロッパの政府系財団など。到着早々相当密度の濃い議論に頭はぱんぱん。。。。
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夜はレバノン出身の作曲家トフィーク・ファルークのライブコンサート→打ち上げ。しかし本当にここはベイルート?という気持ちはまだ沸かない。
by smacks | 2005-11-16 23:20 | ■TIF07-レバノン

アライブ・フロム・レバノン-ハリリ前首相の葬儀

b0028579_246013.gifレバノン情勢が厳しい。
一昨日のレバノン元首相ハリリ氏暗殺 (しかも350キロもの弾薬を使った実に計画的・組織的な自爆テロによる)によって、レバノンでは極めて厳しい状態が続いている。(がもちろん日本のメディアは小学校での殺傷事件とホリエモン騒動で、中東の小国の情勢不安をほぼ無視。)今日はその葬儀が行われた。国葬をという現大統領の打診を、遺族はかたく拒否。その陰には鮮明な政治的対立がある。(もともとレバノンでは大統領はキリスト教徒から、首相はイスラム教徒から選出されることが決まっている。)そして一般大衆にもひらかれた葬儀に参列した人の数は、なんと推定100万人。岐阜県ほどの面積の国土に400万人しか人口のないレバノンで、100万人、つまり4分の1が参加した計算になる。(日本だと2100万人が参列する計算だ。)ハリリ氏の個人的な友人であったフランスのジャック・シラク大統領も夫人と参列した。反シリア勢力のトップだったハリリ前首相の暗殺テロには、シリアが関与したという見方が強い、と各メディアは報じており、また国連も4月までにレバノン国内に駐留するシリア軍の撤退を求める様相。以上ニュースのレジュメ。
昨年の東京国際芸術祭で招聘したレバノンのアーティスト、ラビア・ムリエからメールが届いた。なんとハリリ前首相は、彼の勤めるレバノン国営放送Future TVのオーナーだったそうで、暗殺以降の混乱状態がひしひしと伝わってくる文面。未曾有の混乱と悲しみ、想像を絶するヒステリー状態が国に広がっている、とラビアは語る。この狭い国土に、18もの宗派がモザイク状に折り重なり、国会議員から裁判官、さらに民間企業のポストまで、ありとあらゆるものを宗派間で分け合っているモザイク国家レバノン。そこに軍事的・政治的圧力をかけるシリアと、レバノン国内でも活発な活動を展開する親シリア勢力。しかもアラブ共通の敵国であるイスラエルとの紛争もくすぶり続けている。・・・ひとたびその均衡が崩れたとき、「レバノン人同士が倦むことなく血で血を洗いあったあの戦争」を、彼らはいやがおうでも思い出すのだろうか。「親シリア勢力は、敢えてこの均衡を崩すことで再びこの国に内戦をひきおこそうとしている」と指摘するラビアは、もう戦争はこりごりだという大多数のレバノン一般人の心情を代弁しているにすぎない。あの戦争を若くして体験した世代から、ようやく手ごたえの強固なアートが生まれ始めたレバノンで、また「アートどころじゃない」状況に逆戻りすることだけは絶対に回避しなければならないだろう。

去年の東京国際芸術祭で実現した国際共同製作『アル・ハムレット・サミット』。この作品には、シリア、レバノン、イラク、サウジアラビアといった国々の超一級の俳優たちが参加し、アラブ多国籍チームが誕生した。昨年10月のソウル公演に引き続き、今年6月のシンガポール芸術祭での公演も決まったと、演出家スレイマン・アルバッサームから知らせを受けた。しかしこのような状況下で、果たして役者たちは同じステージの上に立ち続けることができるのだろうか?
イスラエルVSアラブ世界、という分かりやすい対立軸の陰にある、我々日本人には理解しがたいアラブ国家間での錯綜した対立関係。一部の権力者たちが利権のために捏造しているこれらの対立を乗り越え、芸術家たちは何をするべきなのか? そして我々は彼らとともに何をすることができるのか? 中東プログラム2年目を目前に控え、筆者の胸中は混沌としている。

Future TVのニュースはこちらから。ニュース全編がストリーミングで視聴できる。
by smacks | 2005-02-16 23:25 | ■TIF07-レバノン


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