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日々の仕事のこと、観劇・鑑賞記録、出張報告など、国内外の舞台芸術を中心としたアートおよびアートマネジメント全般がテーマです。
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カテゴリ:■クンステン・フェス05-06( 11 )

アルゼンチン出張①:旅のはじめに

アルゼンチンから戻ってきました。忘れないうちに、数回に分けてちょっとレポートします。

■ 旅のはじめに

5泊8日・・・つまり機内で3泊するという厳しいスケジュール。しかもコンチネンタル航空でのトランジットはヒューストン、その名もジョージ・ブッシュ空港(!)で7時間待機。・・・個人的にとっても憂鬱なトランジットを含む30時間の旅程を経て、ようやく到着したアルゼンチンは・・・遠かった。そして、寒かった、つまり冬だった。雨が降り続き、滞在6日間の間に一度も太陽が顔を出さなかったという、南米とは思えない悪天候の日々。

そして、町並みは、30年くらい前のちょっと荒廃したヨーロッパの古い町並みのような趣。ホテルの部屋は、フランス時代に借りていたステューディオにそっくり。町全体が、ヨーロッパの深いノスタルジーに包まれている。人々の服装も、お店の看板も、カフェの内装も。かつてスペインやイタリアなどヨーロッパからの移民がほとんどで、普通に劇場にいると、別にヨーロッパとの違いを感じることはほとんどない。

が、やはり違うなと思うのは、道々を走る車がとても古い、排気ガスがすごい、トイレがあまりきれいではない、道にたくさんごみが落ちている、道路がちゃんと舗装されていないところが多い、電話が聞こえづらい、など、いわゆるインフラ系の問題が、時間を経るにしたがって見えてくることだろう。そして、物価は明らかに安い。空港まで1時間弱タクシーに乗って50ペソ=1500円くらいだから、本当に安い。


■ 旅の終わりに

▼ 語学の重要性 

声を大にして言いたい。やはり演劇を、そしてアートを職業にするのならば、最低でも母国語を除いて2ヶ国語くらいできるのは当たり前だということを。今回のフェスティバルには世界各国から30名近くの主要フェスティバル・ディレクターや劇場関係者が招待されて筆者と同じように観劇生活を送っていたが、彼らはほぼ全員英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語を理解するし、それらを相手によって切り替えながら話す。それほど流暢でなくても、話して相手を説得させるに十分なコミュニケーション能力がある。またフェスティバルのスタッフたちも、2~3ヶ国語は当たり前のように操っていて、もはや語学は大前提というか、できて当たり前の世界。逆に言えば、語学ができないのに外国の演劇やアートの世界で、本気の勝負するのは難しいということだ。アーティストであれば話は別だが、プロデューサーやキュレーターにとって、日本語以外の言語で自分のやろうとしていることを伝えられなければ、世界からは相手にされないということだ。アートが所詮、西洋が生み出したルールに従って動いている以上、西洋の言語を操ることができなければ、本質的な勝負は難しい。そのことを、アートの仕事を職業とする人は真剣に考えるべきだし、試練として乗り越えるべきだ。今回スペイン語ができずにちょっとだけ苦労をした私は、自戒を込めて、そのようなことを強く感じた。

▼ 肉
アルゼンチンといえば牛。と信じてきたのだが、何しろ忙しくて食事そのものをちゃんととる時間がない・・・毎晩夕食は深夜過ぎ。一日だけ午前中の打ち合わせが終わってから一人寂しく駆け込んだレストランで食べた、巨大なステーキ。これが、唯一の観光客らしい出来事でした。涙。
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by smacks | 2007-09-18 02:17 | ■クンステン・フェス05-06

5月21日⇒23日

3日間まとめて。しかも時間がないのでごく簡単に。
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これは今年のクンステンのフェスティバル・センターがおかれたKaitheaterのバーの様子。グラフィック、かっこよい。

■Anne Teresa De Keersmaeker & Ann Veronica Janssens / Losas
[ Keeping Still - Part 1 Creation ]
ケースマイケルのソロと美術家アン・ベロニカ・ヤンセンのコラボレーション企画。場所はブリュッセル郊外にあるローザス占有の稽古場、その名もROsas Performance Space。今回のパフォーマンスに使用された部屋も350m2は軽くあるものと思われる。その奥行きを利用して、シンプルな照明によって空間を彫刻のように生み出す。BGMはマーラー。おお、美しきヨーロッパ、という感じの作品。まあ、ケースマイケルのソロだからこそ成立するあらゆる要素、この場所だからこそ成立するあらゆる要素をうまく使った、よく出来た作品。しかしやっぱり作品よりも驚くべきは、ローザスが持つ専用の稽古場の大きさ、スペック、美しさである。下の階にはやはり200m2以上の庭に面したレセプション・スペースがあり、きらきらしたシャンデリアの元、無料でドリンクや美味しい食べ物が振舞われる。貴族的な一夜だった。

■Rimini Protokoll [ Karl Marx / Das Kapital : Erster Band ]
リミニ・プロトコロル、今回はDaniel Wetzel と Helgard Hung のユニット。ただし基本的な方法論はStefan Kaegi と同じく、プロの役者ではなく、実社会で舞台上と同じプロフィールを持つ市井(?)の人々。全盲のテレフォン・オペレーターとか、経済系の学者とか、革命を信じて闘う若い活動家とか。さすがリミニと思わせる仕掛けもいくつか。
しかしイヤホンガイドの同時通訳はやはり厳しかった。本人たちにあとから聞いたら、やはりドイツ語圏以外で上演するのは初めてで、字幕よりは同時通訳でやってみようという話にはなったがちょっと難しいかも、とのこと。日本でやるなら、日本の団塊の世代のおじさんたちを舞台上に上げて直日本語でやったら面白いだろう、などと夢想が膨らむ。

■Natasa Rajkovic & Bobo Jelicic [ S Drung Strane ]
ザグレブの演出家。小さな舞台だが、ドラマトゥルギーがしっかりしていて、等身大で出来ることをちゃんとやっている感じ。テキストも家族や隣人関係という日常から戦争や社会的コンテクストまでひろがっていく構造。

■Anu Pennanen [ Soprus / A moment for the invisible ]
フィンランド出身のアーティストの映像インスタレーション。同じ出来事を複数の視点=カメラから撮影。不思議な物語性に引き込まれる。

■Sarah Vagnat [ Power Cut ]
ベルギー出身の女性アーティストによる映像ドキュメンタリーのインスタレーション。コンゴとルワンダの国境地帯で撮影されたドキュメンタリー。重い。


その他
今年のクンステンは、クリストフがディレクターになって初めての開催で、フリー・レイソンの路線がどう引き継がれるのか、何が変わるのか、というところで注目が集まったが、基本的な路線や方針に大きな変化はなく。心配されていた動員も問題なく、どの劇場もほとんど満員御礼・チケットはソールドアウト状態だったようだ。今年のクンステンも、会いたい人に会え、また会えると思っていなかった人に会え、アーティスト同士の出会いがある、素敵なことが沢山詰まった時間が流れたと思う。何度かフェスティバルオフィスにも行って打ち合わせをしたが、日々新作の初演や大きなプロダクションの公演があるにも関わらず、誰もてんぱっているスタッフがいないのには本当に関心した。基本的なノリは徹底してゆるいのに、決めるところでばっちり決めて勝負をする。東京の現実を振り返ると、学ぶことだらけ・・・

それからこれはもうひとつ、職業的な雑感なのだが・・・今回、いくつかのミーティングを通じて、ヨーロッパの一流と呼ばれる劇場、フェスティバル間の熾烈なライバル関係を生々しく垣間見ることになった。そしてそうした熾烈な競争の中で、ともするとアーティストが翻弄され、また都合よく消費されかねない状況も。少なくとも日本の演劇界は、そうした熾烈な競争の外側にいて、敵視されることはない。ヨーロッパの同業者たちは、大きな予算で大きな劇場やフェスティバルを運営していくにあたり、その評価の最大のポイントである共同制作と新作初演を巡って、猛烈なストレスとライバル心のもとでプログラムを組んでいることをあらためて目の当たりにした。初めて、ヨーロッパから遠く離れていることの、ある種のアドバンテージを感じた。所詮蚊帳の外、といってひねくれるのではなくて、それをアドバンテージとして泳いでいくこと。
by smacks | 2007-05-23 23:37 | ■クンステン・フェス05-06

ブリュッセル2日目

5月20日

朝はきっかり7時に眼が覚める。日本ではあり得ない遅寝早起きが実践できてしまう。

昼に、ヤン・ファーブルのオーディションに見事合格しアントワープで修行中の日本人ダンサー、上月くんと、昨年一緒にクリエーションをしたダミアン・ジャレの二人に再会。ダミアンに、本場ベルギー料理の店に連れて行ってもらうも、ムール貝の季節ではないということで、なぜか鴨肉を食べる。その後、フォンタナスという、ブリュッセルはアート系の若い人が集うというカフェに行ったら、日本で会った仏人アーティストと再会。うわ、世間狭すぎ。しかも、あとで分かったことだが、知人の日本人がその上の階に住んでいるとのこと。恐ろしい狭さブリュッセル。。

■Alvis Harmanis / New Riga Theatre 「The Ice」
海外ではじめてのイヤホンガイド(=同時通訳)つき公演。個人的なことだが、日本でもイヤホンガイドをつける公演にはあまり集中できないのだが、それが仏語となると、もはや苦行でしかない。。。10人ほどの役者が円状に座って、リーディング形式で本を読むが、リーディングというにはあまりに激しいパフォーマンスつき。観客にはアーティストが作成した写真集が渡され、そのかなりエログロ系のイメージもあわせて鑑賞し、想像力を喚起させる仕掛けらしい。評判がものすごいよいリーディング公演だっただけに、その内容を十分に消化できないのが残念。

■Cie Isabella Soupart 「K.O.D. (kiss of death)」
在ベルギーの若手振付家。題材はハムレット。エレクトロ・プログレ系?のロックの調べにのせて、歌あり、踊りあり、映像あり、演技あり・・・暴力とか狂気とか愛憎とか、ハムレットらしい仰々しい世界の現代版といえばそれまでだが、結構楽しんだ。たぶん、ドラマツゥルギーがはっきりしているだけに、安心して見られたのだろう。基本的に国内のローカルな若手アーティストがこれだけのレベルのものをこれだけの大きなプロダクションで発表できるということ、ベルギーダンスの層の厚さにも、感心。

■The Wooster Group 「La Didone」
20年前は素晴らしかった、という前置きがついてしまうThe Wooster Group。仰々しいテクノロジーの使い方は古臭く見えても、そこで語られる内容や方法やスタイルが古びない作品こそが歴史に残っていく作品であり、アーティストであるとすれば、The Wooster Groupの今日の展開とその作品の内容は、非常に厳しいものがあった。
by smacks | 2007-05-20 22:06 | ■クンステン・フェス05-06

パリ⇒ブリュッセル1日目

横浜⇒6時間だけ東京⇒10時間だけパリ⇒ブリュッセル。時間と空間が、連続しているような、途切れているような。寝不足すぎて意識朦朧。飛行機は2時間遅れたが、筆者にとっては2時間余計に寝られたので単純に得した気分。またもや離陸・着陸に気がつかず、起きたらパリだった。

■パリ-「ベケット展」@ポンピドゥー
10ヶ月ぶりのパリの変化を見る程の時間的余裕はなかったが、ベルギーへ移動するまでの数時間で、ポンピドゥーのベケット展とL'air de Paris という企画展をハシゴする。ベケット展はずっと見たいと思っていて、でもさすがにもう終わっていると思っていたけれど、ギリギリ間に合って本当に良かった。展示内容、展示方法ともさすがという感じ。過去のベケット作品上演の映像も沢山見れて、かなりおなかいっぱい。
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ところで、このたった数時間で気がついたパリの変化といえば・・・サルコジではなく、カフェをはじめ公共スペースがすべて禁煙になってしまったこと。オープンテラスにさえも灰皿がないという事態は、もやはパリのカフェ文化を衰退させるのではないかと心配になるほどだが・・・禁煙のためにカフェに来るという説もある。

そしてベルギーへ移動。

■チェルフィッチュ「三月の5日間」
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Kaaitheater Studio という小劇場。でも観客数は200くらいではないだろうか。満員御礼でキャンセル待ちの長い列。フランス語の翻訳もなかなか良くできていて、観客からは頻繁に笑い声がこぼれる。
プロの演劇関係者も、一般のお客さんも、ある新鮮でポジティヴな衝撃をもってこの作品を受け入れたようだ。少なくとも私がであった何人かの同業者の反応は一様に、極めてポジティヴだった。ここ数年来、日本の演劇といえばオリザ・ヒラタと疑わなかったフランス語圏ひいては欧州の演劇界にとっては、いよいよ日本の新世代の到来という感じなのだろう。
観劇後、カンパニーの皆とも合流。皆さわやかな充実感に溢れていて、安心。

■Ester Salamon 「And Then」
ハンガリー人女性アーティストのパフォーマンス。基本はダンスのはずだが、映像多様、テキスト多様、音楽多様。基本テーマは自分のアイデンティティ探しかな。やろうとしていることに対する方法論が散漫というか、どれもデジャヴな感じが厳しいパフォーマンスだった。

■フェスティバル・パーティ
夜は朝2時過ぎまで皆で飲んだくれ。これまで3年間ひとり寂しく通い続けたクンステンで、初めて日本人に囲まれ、日本人のアーティストや関係者が集っているということが、とても嬉しく、そういう状況をつくってくれたクリストフや岡田さんらとここで乾杯できたことも、本当に嬉しかった。
by smacks | 2007-05-19 23:38 | ■クンステン・フェス05-06

ブリュッセル出張4日目:アントワープへ

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■ アントワープ
昼ごろから電車でゴトゴト1時間弱。シディ・ラルビのマネージャーとのMTのため、ベルギーからアントワープへ向かう。言語がフランス語からオランダ語に変わるので軽く外国に来た状態になるが、人々の気持ち的には東京から横浜に行く程度のことらしく、みな普通に通勤・通学しているようだ。2度も出発のプラットフォームが変更になり、30分遅れて発車しても許される、ゆるーいベルギー国内の旅。。。

アントワープは、数々のアーティストやファッション・デザイナーを輩出し続けている都市である。時間がなくて町並みをさらっと歩きまわっただけだが、それでも街のダイナミスムが伝わってくる。古いものを丁寧に守っていると同時に、外部のものを受け入れる寛容なメンタリティが息づいているのを感じる。
初めてくる街、しかも急遽くることになった街なので、駅でゲットした地図を片手にインプロビゼーションの連続。折角歩いていった現代美術館が月曜日で閉まっていたのがかなり哀しかった。やはり海外インプロにも限界あり。しかし人々が優しいので何とでもなってしまうところがまたゆるやかなベルギーの魅力。

ゆるゆるとブリュッセルを経由して、パリへ。
by smacks | 2006-05-15 04:44 | ■クンステン・フェス05-06

ブリュッセル出張3日目:過激な日曜日

5月14日(日) ブリュッセルの日曜日。今日も快晴。
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■ダミアン&ラルビ
先日の青森県立美術館で行った国際ダンスコンペで海外部門一位に輝いたダミアン&ラルビとのMT@ダミアン邸。ダミアンがベジタリアン・パスタを作ってくれる。今後の展開についていろいろと話し合う。お互い宿題がたくさん。

■Groupov / Jacques Delcuvellerie 「Anatheme」 @フランス語圏国立劇場
昨年のアヴィニオンで見逃したベルギーの演出家の作品。3時間30分にも及ぶ大作。聖書のテキストの引用だけから成り立つ美しくも残酷な朗読+音楽が延々と続くストイックに美しい前半部から、その朗読にあわせながらも20名ものパフォーマーたちが見せる壮絶で衝撃的な後半部。聖書によって構築され、解釈されてきた世界(この舞台ではキリスト教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒という、旧約・新訳聖書に端を発する人々)を、今敢えて聖書の言葉だけで描き切るとは。絶句と絶賛の入り混じった、衝撃を受ける。

■ クリストフ・マルターラー「Winch Only」@KVS-BOL
クンステン・フェスティバルがプロデュースするクリストフ・マルターラーの新作世界初演。スイスの演出家マルターラーは、ドイツ語圏のみならずヨーロッパ演劇の代表的な存在であるにもかかわらず、日本にはまだ一度も招聘されていない(はず)。巨大な舞台装置は、20メートル近い壁、2階建て構造、暖炉(当然生の火を使う・・)・・・見ているだけでプロダクションにかかる金額を想像し嗚咽をも覚えそうだが・・・作曲家でもあるマルターラーの繰り出す、一見コミカルな音楽劇の、驚異的なレベルに、鳥肌が立った。3時間という上演時間、一瞬たりとも緊張の解けない役者たちの演技力、テキストの力、演出家やクリエーティング・チームのとてつもない才能に、完全にノックアウトされる。舞台を見る至福とはこういうことを言うのかも。

■フェデリコ・パレデス「CADA UM」@Theatre les Tanneurs
超ヘヴィ級の作品を立て続けに2本見た後、やや呆然自失としながら、ブラジルの若手振付家の作品を拝見。「自己言及系」のあるいは「語り系」のダンス。

■ラ・フェラーラ
ブリュッセルの聖カソリーヌ教会の広場に面するイタリアレストランで。昨日のアルゼンチンの演出家マリアーノ・ペンソッティと、クンステンのディレクターらと食事を共にする。ボンゴレ・ビアンコ。話題尽きず、その後またまたクラブで翌日まで飲んだくれ。ああ、今年も素晴らしいクンステン・フェスティバルであった。

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by smacks | 2006-05-14 04:40 | ■クンステン・フェス05-06

ブリュッセル出張2日目:フランドル通り

5月13日。ブリュッセルは今日も快晴。

■摩訶不思議なブリュッセルの5月
昨年もそうだったのだが、この小さな国の5月週末には、春を祝福するように、可愛らしいイベント目白押し。すべてが可愛いブリュッセル。今日は仮装パレード?
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■ヤン・フードン映像インスタレーション@De Marketen
クンステン・フェスティバルではビジュアル・アートや映画もプログラムの一部に入っている。中国はヤン・フードンの映像インスタレーション。10枚のスクリーンに10個のシーン。素晴らしい内容。

■アンナ・ヴィブロック展@KVS-TOP
スイスの演出家クリストフ・マルターラーの作品でセノグラファーとドラマトゥルクを兼ねるアンナ・ヴィブロック。これまでに作った舞台美術の模型が展示されている。しかし・・・どの舞台装置も、でかい。ほとんど舞台の上に家を一軒建てるような立て込み方。床も壁も天井も作っている・・・さすがドイツ語圏演劇。ツアーのことは一切考えていない。

■Ho Tzu-Nyen 「Utama, Every name in History is I」@Kaaitheaterstudio's
クンステン・フェスティバルの次期ディレクター、クリストフ君とMT後、シンガポールの演出家の舞台を観劇に。シンガポールという国家の成り立ちに疑問符を投げかける、映像&レクチャー型パフォーマンス。とてもスマート。シンガポールにも問題提起型のアーティストの存在を確認。

■マリアーノ・ペンソッティ「La Marea」@Rue de Flandre
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アルゼンチン・ブエノスアイレス在住の若手アーティスト。ブリュッセルの中心部、カトリーヌ教会からのびる「フランドル通り Rue de Flandre」という、まさに日常がそのまま息づく空間を舞台にしたパフォーマンス。(↑)とはいえ、我々が「街頭演劇」とか「ストリート・パフォーマンス」と聞いて思い描く、ある種の荒々しさや、日常の中に侵入してくる異物としての行為ではまったくない。通りに面した9つの空間、例えばカフェのテラス、アパートの窓ぎわ、ガレージの前、本屋の中・・・が「舞台」となる。9つの舞台=物語が、同時に展開する。登場人物たちに会話はないが、彼らの思考が字幕となって観客に伝えられる仕組み。9つの物語はすべて同時進行で10分で終了するが、9つ全部をみれば、2分のインターミッションをいれて2時間弱のパフォーマンスとなる。観客は、パフォーマンスと字幕をみるためにお行儀よく並んで拝見。交通規制をしているので車の侵入はないが、通行人は普通に歩いているので、道行く人々も立ち止まってパフォーマンスに見入る。普通の通りに生きる、普通の人々が、普通に生きる日常で、普通に何気なく思考していることの、美しさや残酷さ、せつなさ。素晴らしい作品だった。
ちなみにこの作品はもともとブエノス・アイレスのあるストリートのためにマリアーノが考案した作品で、今回はそのコンセプトだけをブリュッセルのフランドル通りに適用し、アーティストが現地滞在を経てキャスティングから空間作りまで時間をかけてつくりあげた、ブリュッセル・バージョンなのだそうだ。当然それをキュレーションしているのはフェスティバルなので、フェスティバル・プロデュースの作品ということになる。お見事。

■フェスティバル・パーティー
とても良い気分のままフェスティバル・センターへ。今年はフランス語圏国立劇場のホワイエがフェスティバル基地に。毎晩のように、フェスティバルに参加しているアーティスト・スタッフ・観客が入り乱れてのパーティーが行われている。大勢の関係者と2時ごろまで騒ぐ。ああ、こういうフェスティバル・パーティーをTIFでも仕掛けたい。が、東京には終電というものがあるんだよなあ。。。
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by smacks | 2006-05-13 18:58 | ■クンステン・フェス05-06

ロンドン⇒ブリュッセル

5月12日 ロンドン⇒ブリュッセル

ロンドンは今日も快晴。ブーツまで持ってきた筆者の杞憂とは裏腹に、ロンドンは暑い。スレイマンらとの最後のMTを終えて電車までの時間をつぶす。

■ICA Insititut of Contemporary Arts
帝国主義の名残を残すロンドンの政治中心部に、場違いな感じであるのがこのセンター。プログラミングの傾向がとてもとんがっていて、ギャラリー、シネマに加えてパフォーマンスもよくやっている。今日はギャラリーのみを見る。
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■ユーロスター
昔はこんなに高かったっけ? と思うほど、値段が上がったと感じるのは筆者の気のせいだろうか? 昔は学割だったから? パスポート・コントロールでは、かなりの質問攻めにあう。怪しい国のスタンプだらけのパスポートは、明らかに怪しまれる。

■ブリュッセル
昨年に引き続きクンステン・フェスティバル・デザールでのリサーチと、青森県立美術館のプロジェクトに参加してもらっているアーティストとの打ち合わせのためロンドンからブリュッセルへ移動。ドーバー海峡の向こう側も快晴。1年ぶりのブリュッセル。何度行っても馴染めないロンドンに対し、ブリュッセルは何度来ても大好きな街。街が可愛い(小さいながら摩訶不思議)、人々の性格がやさしい&可愛い(人の話を聞くという基本的な姿勢が身についている人が多い)、食べ物がおいしい、物価が安い(わりに、おしゃれな店も結構多い)、そして古いものも新しいものも、筆者の志向にあったアートの出会える確率がとても高い。
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■メグ・スチュアート「Replacement」@Les Halles
22時開演、終演は0時30分。アヴィニオンに続いて、観客も体力勝負の公演。Les Hallesという劇場は非常に良いつくりになっていて、ちょうど舞台の大きさや構造、タッパなど西巣鴨にそっくり。作品は、台詞の多い「踊らない」系のダンス。字幕を追うのも結構大変だったが、物語性をはっきり出しているわりには、やや効果を狙いすぎた逆効果というか、どうもすっきりしない感じがぬぐえない。またまた終演は翌日状態。
by smacks | 2006-05-12 07:00 | ■クンステン・フェス05-06

インディペンデント万歳

5月16日
ここはほんとにベルギー? というほどの晴天に恵まれる。前回のTIFにゲストとして招聘したTheatre de Pocheのオリビエ君とSPAFの2人とイタリア料理のランチを堪能。やはりベルギー、料理のレベルがとても高い! 
15時からのパフォーマンス、場所はフェスティバル・センター。フィンランドのアーティストによるパフォーマンスである。時間どおりに行くと、40人ほどの観客が入り口の階段に腰掛けて待っている。「これからパフォーマンスの場所に移動しますが、場所は内緒です」というアナウンスが。チケットのチェックが一通り終わると、アーティストとおぼしき男性が2人を先頭に、観客40名がぞろぞろと移動。街中をぞろぞろと歩くこと15分。またこれもなかなかいかしたリノベ物件のカフェに案内される。2メートル四方のテーブルを囲むように40名の観客が配置され、テーブルの四方にパフォーマーが観客と同じレベルに座り、語り始める。テーブルの表面が黒板になっていて、そこでストーリーの展開にあわせて、紙やチョークを使ったミニミニワールドが展開される。パフォーマーの語りによってテーブルの上は極めてリアルな空間となり、観客はそのミニチュアの世界に引き込まれていく。・観客は暗幕も何もない日常の空間に、パフォーマーとも観客同士でも目が合う距離感。
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パフォーマンスの後もそのまま観客はアーティストとテーブルを囲みながらお茶を飲んだり、しゃべったり。いいなあこのゆるやかで心温まるミニミニ感。
その後フェスティバル・ディレクターのフリー・レイソン女史とアシスタント・ディレクターのクリストフ君と会う。超忙しいだろうに、オープンカフェでまったりとお茶を飲みながらもてなしてくれる。彼らが世界中のアーティストから信頼され、信奉されている理由がとてもよく分る。とにかく人の話にちゃんと耳を傾けてくれるのだ。今回で10回目をむかえるクンステン・フェスティバル、インディペンデントな組織(つまりNPO)のイニシアティブで、ここまで質量ともに充実したフェスティバルに成長した。総予算は2百万ユーロ前後というから、これだけの規模と内容にしては非常に少ない予算で頑張っているのだ。ハイナーゲッペルス、フォーサイス、ローザスといった世界のスーパースターの新作をさりげなく紹介すると同時に、ルネ・ポレッシュやロドリゴ・ガルシアといった、まさに今が旬の熱いアーティストの作品でガツンとインパクトを与え、さらに旧共産圏、中東、中南米、アフリカといったアーティストという職業の成り立ちが極めて厳しい地域のアーティストと数年間に渡ってコ・プロデュースを組んで作家を育て、ヨーロッパのアート市場に向けて再配信、そしてなお地元ベルギーのローカルなアーティストたちも忘れず発掘して支援する。大小含め40もの芝居、ダンス、パフォーマンス、インスタレーション、トークショーなどが企画されるフェスティバルは、世界の舞台芸術のプログラミングに大きな影響を与えるフェスティバル・ブランドを確立した。「ベルギーやブリュッセルのシンボルって言われるけど、未だに国や市から支援をもらうのは大変なのよ」とはフリー・レイソンさんの言葉だ。う~、泣けるなあこういうセリフ。やはりインディペンデントで頑張っている人たちはどんどん強く賢く美しくなるんだなあと思った。逆境万歳。
by smacks | 2005-05-16 23:53 | ■クンステン・フェス05-06

ゆるいのに、深い、ブリュッセルの魅力

5月15日
日曜日。滞在しているホテルはCitadninesホテル、ヨーロッパではちょっと有名なアパホテルで、各部屋に簡易キッチンがついている。日本でいうところのウィークリー・マンションだが、フェスティバルの特別価格で1日65ユーロで宿泊することができる。1週間以上の滞在を強いられるアーティストたちにとっては、料理ができる環境は何よりの待遇であろう。だいたい、筆者のように直接フェスティバルに関係のない人間が予約のときに「フェスティバルの紹介なんですけど~」と言うだけで特別価格にしてもらえるシステムがゆるくて凄い! 
日曜日だからなのか、ベルギーだからなのか、5月だからなのか? ブリュッセルの街中ではいたるところで市民がスポーツイベントを展開! それもミニミニの運河でカヌー、路上でテニスやサイクリング、そして広場には子供のための体操教室やら遊具が置かれ、子供たちがはじけんばかりに遊んでいる。なぜか路上チェスまで! 子供たち可愛い!!!しかしさすがベネルクス3国。すべてがおもちゃの国のようにサイズはミニ、そしてテイストはプリティ! (↓)こんな小さな水路でカヌーの練習をする子供たち。。。
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クンステン・フェスティバルの一環のインスタレーションをDe Marketenへ観にいく。リノベ物件ですね、ここも。Bankok Bankok 、バンコクに暮らす8名の作家の作品を、日本でもとても有名なProject 340 のGridthiya Gaweewong 女史がキューレート。
それからLa Raffinerie という町外れの劇場へ。ここもリノベ物件であることは一目瞭然。Raffinefie つまり、かつての精製工場というわけだ。こんな工場跡にもしっかり展示スペースと立派な劇場が作れるのだ。お金をかけずシンプルに美しく。リノベの原点に触れるようないいスペースだ。
ここではインドの若手振付家Padmini Chettur のPaper Dollを観る。インド人でありながら伝統舞踊ではないコンテンポラリーの女性振付家が国際的な舞台にデビューということで、大きな注目が集まっていた。客席をちらっと見るだけでも超有名フェスティバルや劇場のディレクターがごろごろしている。よくまとまった作品で美しいのだが、そこから先が謎というか、この閉ざされた世界がどこに向かって開けていくのか、今後が楽しみな振付家だと思った。
それから韓国のSPAFの二人と街中に戻りまったり。やはりベルギーといえば白ビール。調子にのって巨大サイズを注文、バケツのようなグラスに顔をうずめながら至福のひと時を。それからフェスティバル・センターに戻りIETMのカテリーヌさんとミーティング。彼女とは昨年からIETMのサテライト・ミーティングをアジアでやりたいという相談を受けていたのだが、とうとう来月6月にそれがシンガポールで実現することになった。しかもAAPAFとの合同コロキアムということで、かなり濃密な2日間のプログラムが着々と準備されている。いやいや国際シンポ&ネットワークのプロは機動力、情報力がすさまじい。
20時30分。そこから急ぎ足でKaaitheater へむかい、Charlotte Vanden Eyndeというゲントを拠点とする若手振付家の作品を観る。これが初めての1時間以上の作品という、まだ20台の振付家だ。かなり奇妙な作品で退屈と感じる瞬間も少なくないのだが、もはやこれもダンスというより我慢大会というか、象徴的な動きや振動、ジェストの反復がゆっくりゆっくりと展開する不思議な断片の連続によって構成されている。うーん、こういう作品ってあるけど、結局テーマが不明というか、「肉体が語るままに」的に解釈しろといわれても困るなあ。。。結局セックスやコミュニケーション/ディス・コミュニケーションが扱われているのだけれど。折角美しい視覚的世界の構築に成功しているのだから、そこから先をどう展開するのか楽しみ。
23時。フェスティバルセンターに戻り、いまや超有名な振付家アーティスト、ジェローム・ベルがホストを務めるトークショーThe Jerry Bell Show へ。こんな時間だが、屋根裏のスペースは50名以上の人で一杯。今日のゲストは前述したインドの振付家。英語が公用語。いいなあこういう大人の集まり。ゆるいのに、深い、ブリュッセルの夜でした。
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by smacks | 2005-05-15 23:13 | ■クンステン・フェス05-06


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