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日々の仕事のこと、観劇・鑑賞記録、出張報告など、国内外の舞台芸術を中心としたアートおよびアートマネジメント全般がテーマです。
by smacks
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2007年 05月 23日 ( 1 )

5月21日⇒23日

3日間まとめて。しかも時間がないのでごく簡単に。
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これは今年のクンステンのフェスティバル・センターがおかれたKaitheaterのバーの様子。グラフィック、かっこよい。

■Anne Teresa De Keersmaeker & Ann Veronica Janssens / Losas
[ Keeping Still - Part 1 Creation ]
ケースマイケルのソロと美術家アン・ベロニカ・ヤンセンのコラボレーション企画。場所はブリュッセル郊外にあるローザス占有の稽古場、その名もROsas Performance Space。今回のパフォーマンスに使用された部屋も350m2は軽くあるものと思われる。その奥行きを利用して、シンプルな照明によって空間を彫刻のように生み出す。BGMはマーラー。おお、美しきヨーロッパ、という感じの作品。まあ、ケースマイケルのソロだからこそ成立するあらゆる要素、この場所だからこそ成立するあらゆる要素をうまく使った、よく出来た作品。しかしやっぱり作品よりも驚くべきは、ローザスが持つ専用の稽古場の大きさ、スペック、美しさである。下の階にはやはり200m2以上の庭に面したレセプション・スペースがあり、きらきらしたシャンデリアの元、無料でドリンクや美味しい食べ物が振舞われる。貴族的な一夜だった。

■Rimini Protokoll [ Karl Marx / Das Kapital : Erster Band ]
リミニ・プロトコロル、今回はDaniel Wetzel と Helgard Hung のユニット。ただし基本的な方法論はStefan Kaegi と同じく、プロの役者ではなく、実社会で舞台上と同じプロフィールを持つ市井(?)の人々。全盲のテレフォン・オペレーターとか、経済系の学者とか、革命を信じて闘う若い活動家とか。さすがリミニと思わせる仕掛けもいくつか。
しかしイヤホンガイドの同時通訳はやはり厳しかった。本人たちにあとから聞いたら、やはりドイツ語圏以外で上演するのは初めてで、字幕よりは同時通訳でやってみようという話にはなったがちょっと難しいかも、とのこと。日本でやるなら、日本の団塊の世代のおじさんたちを舞台上に上げて直日本語でやったら面白いだろう、などと夢想が膨らむ。

■Natasa Rajkovic & Bobo Jelicic [ S Drung Strane ]
ザグレブの演出家。小さな舞台だが、ドラマトゥルギーがしっかりしていて、等身大で出来ることをちゃんとやっている感じ。テキストも家族や隣人関係という日常から戦争や社会的コンテクストまでひろがっていく構造。

■Anu Pennanen [ Soprus / A moment for the invisible ]
フィンランド出身のアーティストの映像インスタレーション。同じ出来事を複数の視点=カメラから撮影。不思議な物語性に引き込まれる。

■Sarah Vagnat [ Power Cut ]
ベルギー出身の女性アーティストによる映像ドキュメンタリーのインスタレーション。コンゴとルワンダの国境地帯で撮影されたドキュメンタリー。重い。


その他
今年のクンステンは、クリストフがディレクターになって初めての開催で、フリー・レイソンの路線がどう引き継がれるのか、何が変わるのか、というところで注目が集まったが、基本的な路線や方針に大きな変化はなく。心配されていた動員も問題なく、どの劇場もほとんど満員御礼・チケットはソールドアウト状態だったようだ。今年のクンステンも、会いたい人に会え、また会えると思っていなかった人に会え、アーティスト同士の出会いがある、素敵なことが沢山詰まった時間が流れたと思う。何度かフェスティバルオフィスにも行って打ち合わせをしたが、日々新作の初演や大きなプロダクションの公演があるにも関わらず、誰もてんぱっているスタッフがいないのには本当に関心した。基本的なノリは徹底してゆるいのに、決めるところでばっちり決めて勝負をする。東京の現実を振り返ると、学ぶことだらけ・・・

それからこれはもうひとつ、職業的な雑感なのだが・・・今回、いくつかのミーティングを通じて、ヨーロッパの一流と呼ばれる劇場、フェスティバル間の熾烈なライバル関係を生々しく垣間見ることになった。そしてそうした熾烈な競争の中で、ともするとアーティストが翻弄され、また都合よく消費されかねない状況も。少なくとも日本の演劇界は、そうした熾烈な競争の外側にいて、敵視されることはない。ヨーロッパの同業者たちは、大きな予算で大きな劇場やフェスティバルを運営していくにあたり、その評価の最大のポイントである共同制作と新作初演を巡って、猛烈なストレスとライバル心のもとでプログラムを組んでいることをあらためて目の当たりにした。初めて、ヨーロッパから遠く離れていることの、ある種のアドバンテージを感じた。所詮蚊帳の外、といってひねくれるのではなくて、それをアドバンテージとして泳いでいくこと。
by smacks | 2007-05-23 23:37 | ■クンステン・フェス05-06


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