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日々の仕事のこと、観劇・鑑賞記録、出張報告など、国内外の舞台芸術を中心としたアートおよびアートマネジメント全般がテーマです。
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ブエノスアイレス出張③:ブエノスアイレス演劇祭

ブエノスアイレス演劇祭は、2年に1回開催される、南米最大のフェスティバルである。ブエノスアイレス市が主催という形をとっているが、フェスティバルを運営するチームは演劇のプロフェッショナルたちであり、アルゼンチンで演劇をやり続けてきた人々である。


▼ 海外プログラム

海外から招聘される10程度の演目は、いずれもヨーロッパで評判がいいものをちゃんといいタイミングで集めているなと同業者ながら感心した。何しろ2年に1度なので、評判が良いものをじっくり選ぶ時間があるのはいいことだ。何より、観客にヨーロッパの一流のものをちゃんとした形で見せたいという意思が、はっきりと伝わるセレクションで、分かりやすい。

今回はEnrique Diaz というブラジルの演出家の「ハムレット」、静岡で見逃したPippo Delbono の「沈黙」、そしてアヴィニョンで見逃した太陽劇団の「Ephemeres」を見た。

中でも太陽劇団は、圧倒的に素晴らしかった。個々人の人生を、あるいはその総体である社会を変える力が演劇にあるとすれば、こういう作品であり、こういう活動なのだろうと思った。そうした考えはもはや現在の世界ではまったく常識的ではないが、少なくともヌムーシュキンは、それを本気で信じ実践し続けている世界で数少ない演出家の一人であり、その「古くささ」がまったくマイナスにならないどころか、ますます強い説得力を持って見るものを包み込んでいく。そこには、ヌムーシュキンにしか生み出せない特別な時間の流れ方と、空間のマジックがあった。それは、圧倒的なものだった。
また太陽劇団を、初めて南米に招聘したディレクターのグラシエラさんは、「これで、私がやりたかったフェスティバルの目標は達成された。もう辞めてもいい」とまで言っていた。80人近い劇団員全員の移動、おびただしい量のステージセットと道具の輸送、巨大な特設劇場の設置など、どんなにお金があっても実現は厳しい太陽劇団の海外公演。それを待ちわびてきたアルゼンチンの観客と共有できたことは非常に幸運であり、一生心に残る観劇体験となった。


▼ フェスティバルとしての強いアイデンティティ

↓はいずれも、フェスティバル・センターのエントランス部。テクニカル・ディレクターを務めるマリアナさんという、30歳の女の子が手がけた空間デザイン。素敵。
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想像をはるかに超えて、ブエノスアイレス演劇祭は、フェスティバルとしての強いアイデンティティを確立し、独自のプロジェクトを展開する、素晴らしいフェスティバルであるということを発見した。経済的には決して豊かではないこの国において、巨大な展示場にフェスティバル・センターおよびオフィスを設営。フェスティバルとしてのセンター=中心を明確に空間として示し、そこに500人を超える人々を一度に収容し、アーティストによるナイト・プログラムをプロデュースするなど、毎晩朝の3時、4時まで大勢の若者や参加アーティストがあふれている。
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↑はローラ・アリアス演出のナイトイベント「カラオケ」! 
by smacks | 2007-09-20 02:28
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