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日々の仕事のこと、観劇・鑑賞記録、出張報告など、国内外の舞台芸術を中心としたアートおよびアートマネジメント全般がテーマです。
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9月1日:大地の芸術祭 レポート1(文章編)

越後妻有アートトリエンナーレ2006 大地の芸術祭 に行ってきました。

メセナ協議会が主催する「フィールド視察」の一環で、1泊2日の強行スケジュールに参加。
この濃密な2日間で、あまりにたくさんの感動があり、発見があり、それをだらだらと羅列していると非常に分かりにくい文章になってしまうと思うので、時間軸に沿りつつも、ポイントをまとめつつ、しかも基本的には自分用の防備録メモなので適当に読み流してください。


■感動その1:メセナ協議会の「フィールド視察」

まずメセナ協議会による、この「フィールド視察」というツアーの素晴らしさ。参加者は20名強のメセナ協議会会員の参加者+スタッフ3名。現地では貸切バスが手配され、広大な展示エリアを、きわめて効率的に見て回ることができる。のみならず、食事つき。越後妻有ならではの郷土料理(へぎそば)やアーティスト考案の食事までがしっかりと手配されている。
宿泊先は松之山温泉の素敵な旅館。修学旅行さながらの、和気藹々モード。当然夜は宴会→露天風呂。極楽のひととき。
忙しい社会人向けというコンセプトによる1泊2日という日程も、なかなかまとまった時間のとれない人には確かに助かる。越後妻有を全部見尽くすにはもちろん足らないけれども、効率的に要所を回れるように、細心の配慮がなされていて、スタッフの皆さんの手際の良さ、心遣いに脱帽。自分も似たような仕事を、とくに外人対象にすることがあるのだけれど、自分の仕事がいかに細かい配慮に欠いているかを反省もした。メセナ協議会の、筆者と同世代の3名のスタッフの皆さんに、まずは深い深い感謝を。


■感動その2:北川フラム氏

1日目のツアーのほとんどの時間、総合ディレクターである北川氏本人が同行してくださった。最初に全体の説明あり、昼食も(あとおやつの豆乳アイスクリームも)一緒に頂き、さらに多くの作品の前に、自ら足を運んで解説してくださった。
個人的に彼の仕事と言説に非常に興味があったので、ご本人の存在自体に、勝手に感激。

彼の言葉で印象的な発言をいくつか書き出しておこう。

1)「作品はすべて自分ひとりで選ぶ」
今回のトリエンナーレでは、3000~4000もの公募プロポーザルがあったという。その中から数百をプレセレクトし、その数百名ものアーティスト全員に会い、そこからさらに選考を行うという作業を、北川氏は一人で3ヶ月かけて行ったという。「作品が平均化することを何よりも恐れる」という氏の執念。

2)「都市の美術は終わった」
やや挑発的な命題だが、氏の言葉をかりると、「20世紀の美術は都市の芸術であり、時代が病むにしたがって、美術はその時代の病理を語り始めた。しかし美術は本来、人間と自然、人間と社会の関係性を直感的に語るものであり、今、活力を失った都市に対し、地方、農村に、21世紀の美術の可能性があるのではないか」。

3)予算規模:8億円
その内訳は、
・市町村 2億
・新潟県 8000万
・協賛・助成 2.5億
・入場料収入ほか 4億
これだけの規模のイベント、しかも3年がかりで8億というのはむしろ少ないと思うが、それだけの金額を、今の日本で、インディペンデントのイニシアティヴが集められるのだ、という可能性に驚く。さらに常設の建築物、作品、組織、など多くのものが現場には残されていくので、実際にはもっと多くの予算が必要となるだろう。足りない分は今でも必死に集めているそうだが、8億でここまでできるのかと、正直、今でも信じがたい。ちなみに仏・ナント市が計画中の「河口プロジェクト」の予算は10億円で10作品+α。
あと、興味深いネーミング・ライツのシステム。建物や作品のメンテナンスを含むサポートを企業が行う新しい形のメセナ。
・福武氏(ベネッセ)→ボルタンスキー
・大林組→草間やよい
・サントリー:能舞台


■感動その3:里山の美しさ、非効率なことのリアリティ

越後妻有に行った誰もが口をそろえて言うことだけれど、これは口では伝えられないほどに感動した。しかし、きっとトリエンナーレがなかったら、多くの人はこの言葉を発することはないだろうし、この里山の美しさの基礎となっている「棚田」という言葉さえ、一生発さないまま終わってしまうかも知れない。
作品と作品の間の、長い移動。山道を登ったり、降りたり。肉体の疲労感を伴う芸術体験。そのことで得られる圧倒的なリアリティ。「だから何?」で終わらない芸術体験。
by smacks | 2006-09-01 01:34 | ■美術系
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