smacks dialy

日々の仕事のこと、観劇・鑑賞記録、出張報告など、国内外の舞台芸術を中心としたアートおよびアートマネジメント全般がテーマです。
by smacks
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ

イスラエルからの出国

10月8日

最後の日。アパートのリビングに泊まったハナが、最後の一日の面倒を見てくれる。朝7時にはアパートを出発、早速エルサレムへと向かう。これまで通っていたエルサレム-ラマッラー間のチェックポイントではなく、ハナが毎日通っている裏道ルートを通ることにする。何時間も待たされたり非人間的な扱いを受けるあのチェックポイントを通るくらいなら、毎日片道1時間半以上かけて丘を縫う様に走るこの道を通るほうがましだとハナは言った。その道のりも、多くのイスラエル入植地が点在している。それらは時にフェンスで覆われ、コロニーそのものが巨大な収容所のようにさえ見える。セキュリティという名の下に、彼らはホロコーストの記憶を再現しようとしているのではないか、そう思えて仕方がない。実際、パレスチナ自治区内に次々と建設されるこれらの入植地の中には、兵士の付き添いがなければ自由に出入りできない場合もあるほどだ。
かれこれ1時間以上車を走らせ、ようやくエルサレムに入る。たかが15キロのラマッラーとエルサレムを、1時間15分かけて走ったことになる。
車を旧市街に止めて、燃料切れした私のためにレストランへ。朝食はいつものアラビック・ブレックファースト。もしゃもしゃ。やっと再起動する。

それから旧市街を徒歩で回る。アラブ人地区はスークになっていて、カイロやチュニスで見たようなディープな商店街が延々と続いている。
b0028579_1775354.jpg

そして聖墳墓教会へ。ここはあまりにも有名なキリスト教のまさに激震地だ。ローマ皇帝コンスタンティヌスの母へレナが326年に聖地を巡礼し建立した。キリストが最後に処刑されたゴルゴダの丘とされる地点に建設され、内部にはイエスの墓であるアナスタシス(復活聖堂)がある。十字架から降ろされたイエスの聖骸に香油が塗られた石台では、巡礼者がひざまづいて触ったり接吻したりしている。観光客風情は我々ぐらいで、あとは熱心な信者や巡礼者の強烈な信仰心の磁場が形成されている。

それからまたスークを抜けて、今度はアルアクサモスクのほうへ。今日はあいにく金曜日、礼拝の日であるため信者以外の立ち入りは禁止されている。なんとなく近寄ったら、ムスリムたちが血相を変えて「入るな」と騒ぎ出さんばかりの剣幕さだ。こんなところにわざと入ったシャロンの意地汚い思惑が手に取るように分かる。戦いはいつも強いものがわざと仕掛けて弱いものを潰す。

エルサレムをあとにし、テルアビブの空港へとひたすら高速を飛ばす。フライトの3時間前には空港INしなければならない決まりだ。ここでハナともお別れ。もう家族みたいな感じで、次会えると思うと寂しさもない。

エールフランス航空のカウンターに行く前の段階、荷物検査の列に並んでいると、調査官が寄ってくる。旅の目的、滞在日数、職業、そして私と椿さんの関係を執拗に聞いてくる。年齢の大きく離れた男女が「友達」といってエルサレムを旅行する、ということに違和感を感じた彼らは、椿さんだけをつれて行ってしまう。がーん、これが一人づつ攻撃して矛盾を暴く例のやり方か! 私は長蛇の列に残されたまま、執拗な荷物検査にひっかかる。スーツケースは全部オープン、紙の一枚一枚までチェックされる。パソコンも別室にもっていかれてなかなか戻ってこない。かれこれ30分以上、つかまったままで途方にくれるが、やっと開放される。私などまだ良いほうで、きれいにラッピングしたお土産の一つ一つを開けられたり、下着まで全部オープンされて恥かしい思いをしている女性もいる。こんな厳しいセキュリティ・チェック、まあ自分の乗る飛行機だから安全であるに越したことはないが、ここまで執拗に感じが悪いとさすがにムスッとしてしまう。ただ、彼ら取調官はどう見ても大学ぽっと出の若いイスラエル人で、別に好きでこんな仕事をしているんじゃないことくらい、すぐに感じられる。彼らを責めてもどうにもならない。世界が変わらない限り、彼らも好きな仕事にはありつけないと思うと、ますますディープな気分になった。もちろんこんな一部始終もすべて監視カメラで撮影されているだろう。

ようやくチェックイン、出国手続きを済ませ、椿さんとビールで乾杯する。ようやく最後の難所をクリアした達成感と疲労感が同時に襲う。思えはこの5日間、相当緊張していたんだなあ。とりあえずお疲れ様でした~
飛行機に乗ってしまえばこっちのもの。ひたすらパリに戻るのみ。パリのCDGターミナル2Fに舞い戻る。ああ、5日前はここから飛び立った。なんと多くのことを経験しただろう。

関空行きは明日なのでパリで一泊する椿さんと別れ、乗り継ぎカウンターへ。そこで「東京行きはキャンセルされたという情報が入っているから、自分で出発フロアに行って確認してください」とのこと。そんな馬鹿なと思い出発フロアに行くと、ちゃんと52番ゲートに成田行きと出ている。やっぱり誤情報かと思って待つこと1時間。ところが、52番ゲートで待っている人々に日本人がまったくいない。あの時間厳守の日本人が出発フロアに一人もいないのはとてもおかしい。係員をつかまえて聞いてみると、「あ、東京行きは台風でキャンセルだからホテルへどうぞ」だって! そんならゲート前に表示するのやめてよ~ というわけで私の旅程は1日伸び、次の日朝早くにパリから経つ羽目に・・・。

あーあ、去年もカイロから戻る途中、魔の9月11日、とんでもないハプニングに見舞われましたねえ。飛行機が引き返しましたねえ、出発から7時間後に!! やはり中東からの岐路にはハプニングがつきものなのか。やれやれ~。
by smacks | 2004-10-08 15:31 | ■TIF05-パレスチナ
<< 被災したオフィスに戻る Smile, you are ... >>


その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧