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日々の仕事のこと、観劇・鑑賞記録、出張報告など、国内外の舞台芸術を中心としたアートおよびアートマネジメント全般がテーマです。
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国立ダンスセンター

9月30日

朝4時にシャルル・ドゴール空港に到着。このフライトに乗るとやたら長い一日が待っている。
初秋のパリ。あちこちの劇場や美術館で04-05シーズンのオープニングや大規模な展覧会、企画が目白押しな季節だ。中東方面への出張に合わせて2日ほどお休みをもらってパリに立ち寄ったのもそのためだ。

本日のスペシャルプログラムは、この6月にリニューアル・オープンしたCNDこと国立ダンスセンターCentre National de la Danseを訪問すること。パリ郊外、パンタン市の行政機関の建物を改造してつくられた。60年代に作られたコミュニスト様式の建物の無機質な構造が、洗練されたダンスのプラットフォームに生まれ変わった。9つものスタジオ、ホール、メディアテーク、カフェ、ギャラリー、レジデンス、広々としたガラス張りのオフィス、そしてダンサーのためのカウンセリングシステム。世界中のダンスの歴史と現在をすべて終結させようというユニバーサリスムの発想である。確かにダンスという芸術を形として保存していくためには当然の発想であり、翻ってダンスに関する資料がごく限られた個人や団体のもとに眠り公共性を持たない日本の膨大なダンス情報について考えるならば、こんなセンターが消え行く日本のダンス情報を収集してくれない限り、いつまでたっても日本のコンテンポラリーダンスはテンポラリーなままで終わってしまうかもしれない。

リヨンARSECのDESSコース(実践的大学院みたいなもの)時代の同僚、カルティカがこのセンターに勤務している。彼女は南インド出身で私よりちょっと年上。リヨンのコースが始まったころは、お互いフランス語にまだ問題があり、猛スピードの授業についていくのに必死でテープを録音して復習しあった仲(涙)。そもそもアジアから初めて採用された学生だったので、私たちは大きなプレッシャーの中にいた。そんな時代も既に4年前。彼女はコース終了後もフランスに留まり、シテ・ド・ラ・ミュージック、世界文化の家、そしてCNDと着々とアートマネジメント畑のエリート街道を歩んでいる。よく考えると毎年職を変えているが、そんなペースでどんどんキャリアを積んでいくのもフランスでは当たり前。

彼女のコーディネートで、CNDのプログラム・ディレクター、クレール・ヴェルレに会う。お互いの持っている情報を交換し、今後のプログラミングの材料にする。特に東京、日本に関する情報は、どこに行ってもいつも重宝がられる。それだけ日本のアートの情報が外に出ていないということだ。また中東に関する情報もしかり。その後、アーカイブや出版部のディレクターのクレール・ロジエともミーティング。次から次へと面白いドキュメントが出てくる。メディアテークも超充実。やはりアートは愛だけではどうにもならない。持続的な資金と、政治力、そして愛の三位一体がなければ、これだけのセンターを創造し、維持していくことは不可能だ。

さて、夜のプログラムは[I am Hamlet]というテーマに基づいたショート作品を連続4作品見せるというスペシャル・プログラムだ。CNDの04-05年シーズンのオープニングでもある。そこで私は再び、あのラビア・ムルエ&リナ・サーネーのBiokhraphia-ビオハラフィアを観ることになる。東京国際芸術祭2004で招聘した作品で、私は作品の選定から制作まで一通り担当させてもらった。東京では観客の意見が真っ二つに割れたが、今やヨーロッパの主要フェスティバルや劇場で引っ張りだこの作品である。今回はフランス語バージョン。リナのフランス語は完璧で、しかも実にうまい演技力のおかげでニュアンスが直接伝わるだけに観客にも大うけだ。「男なら撃て」といって足を打たれたエピソード、パンツを取り替えなかったエピソード、夫とのセックスのエピソードなど、ほとんど終始観客は爆笑の渦に包まれる。そうそう、本当にこの作品は「くそったれの自叙伝」なんだ。その滑稽ですべてを笑いながら解体してしまう絶妙のフィーリングを、アラビア語での東京公演では十分に伝えられなかったことが、私にはどうしても悔しかった。うぐぐ。。
by smacks | 2004-09-30 14:53 | ■フランス滞在&もろもろ
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