ブリュッセル出張2日目:フランドル通り

5月13日。ブリュッセルは今日も快晴。

■摩訶不思議なブリュッセルの5月
昨年もそうだったのだが、この小さな国の5月週末には、春を祝福するように、可愛らしいイベント目白押し。すべてが可愛いブリュッセル。今日は仮装パレード?
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■ヤン・フードン映像インスタレーション@De Marketen
クンステン・フェスティバルではビジュアル・アートや映画もプログラムの一部に入っている。中国はヤン・フードンの映像インスタレーション。10枚のスクリーンに10個のシーン。素晴らしい内容。

■アンナ・ヴィブロック展@KVS-TOP
スイスの演出家クリストフ・マルターラーの作品でセノグラファーとドラマトゥルクを兼ねるアンナ・ヴィブロック。これまでに作った舞台美術の模型が展示されている。しかし・・・どの舞台装置も、でかい。ほとんど舞台の上に家を一軒建てるような立て込み方。床も壁も天井も作っている・・・さすがドイツ語圏演劇。ツアーのことは一切考えていない。

■Ho Tzu-Nyen 「Utama, Every name in History is I」@Kaaitheaterstudio's
クンステン・フェスティバルの次期ディレクター、クリストフ君とMT後、シンガポールの演出家の舞台を観劇に。シンガポールという国家の成り立ちに疑問符を投げかける、映像&レクチャー型パフォーマンス。とてもスマート。シンガポールにも問題提起型のアーティストの存在を確認。

■マリアーノ・ペンソッティ「La Marea」@Rue de Flandre
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アルゼンチン・ブエノスアイレス在住の若手アーティスト。ブリュッセルの中心部、カトリーヌ教会からのびる「フランドル通り Rue de Flandre」という、まさに日常がそのまま息づく空間を舞台にしたパフォーマンス。(↑)とはいえ、我々が「街頭演劇」とか「ストリート・パフォーマンス」と聞いて思い描く、ある種の荒々しさや、日常の中に侵入してくる異物としての行為ではまったくない。通りに面した9つの空間、例えばカフェのテラス、アパートの窓ぎわ、ガレージの前、本屋の中・・・が「舞台」となる。9つの舞台=物語が、同時に展開する。登場人物たちに会話はないが、彼らの思考が字幕となって観客に伝えられる仕組み。9つの物語はすべて同時進行で10分で終了するが、9つ全部をみれば、2分のインターミッションをいれて2時間弱のパフォーマンスとなる。観客は、パフォーマンスと字幕をみるためにお行儀よく並んで拝見。交通規制をしているので車の侵入はないが、通行人は普通に歩いているので、道行く人々も立ち止まってパフォーマンスに見入る。普通の通りに生きる、普通の人々が、普通に生きる日常で、普通に何気なく思考していることの、美しさや残酷さ、せつなさ。素晴らしい作品だった。
ちなみにこの作品はもともとブエノス・アイレスのあるストリートのためにマリアーノが考案した作品で、今回はそのコンセプトだけをブリュッセルのフランドル通りに適用し、アーティストが現地滞在を経てキャスティングから空間作りまで時間をかけてつくりあげた、ブリュッセル・バージョンなのだそうだ。当然それをキュレーションしているのはフェスティバルなので、フェスティバル・プロデュースの作品ということになる。お見事。

■フェスティバル・パーティー
とても良い気分のままフェスティバル・センターへ。今年はフランス語圏国立劇場のホワイエがフェスティバル基地に。毎晩のように、フェスティバルに参加しているアーティスト・スタッフ・観客が入り乱れてのパーティーが行われている。大勢の関係者と2時ごろまで騒ぐ。ああ、こういうフェスティバル・パーティーをTIFでも仕掛けたい。が、東京には終電というものがあるんだよなあ。。。
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by smacks | 2006-05-13 18:58 | ■クンステン・フェス05-06