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日々の仕事のこと、観劇・鑑賞記録、出張報告など、国内外の舞台芸術を中心としたアートおよびアートマネジメント全般がテーマです。
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ベイルートのアートコミュニティ

気がつくと今日がレバノン最終日。。。やはり3泊は短い。午前中、少しだけ町の中を散策。カイロ、チュニス、アンマンなど中東のほかの都市と比べて、私はなぜかベイルートがずっと進んでいるのではないかという幻想を持っていた。しかし現実には、15年の内戦の傷跡は、あまりにも大きいことを知った。町のダウンタウンに、廃墟と化した建物、弾丸を浴びてぼろぼろになった建物があまりにも多すぎる。それが、内戦の集結した15年後にも当たり前のように残っているのである。
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ラビア&リナと昼食。地中海に面した素敵なレストランに連れて行ってもらう。今回の検閲騒動は、「恐ろしくはない。単にめんどくさいだけ」と言い放つ。つまり芸術的あるいは政治的な内容そのものについて問題を指摘されているわけではなく、あくまで表面的な表現が問題となっているのだ。とにかく今日、明日はウィークエンドなため何も出来ない。公演当日の月曜日に検閲局へ行って折衝をすることになっている。今後のことについても、いろいろと話す。そこへ、日本でも知られているレバノンのビデオ・アーティストのアクラム・ザタリが登場。未だに携帯電話を持つことを拒否しているラビアとリナに緊急のメッセージを伝えにきたという。。。涙。

この短いベイルート滞在で最も感慨深いことは、この、ベイルートにおけるアーティスト同士の連帯関係であるといってよい。ラビア、リナを筆頭に、映画作家やビジュアル・アーティストたちが互いに助け合い、議論を重ね、相手の作品の創作のプロセスにも影響を及ぼし、全体としてひとつの芸術コミュニティを形成していることである。例えばあのD.I.のエリア・スレイマンはラビアの作品の英訳を手伝ってあげたり、ラビアはジョハンナ&カリリという来週から日本のフィルメックスにも招待されている映画作家の作品に役者として登場したり、挙句の果てには今晩のアリ・シェリーの字幕オペレートをやってあげたり。。。。。お互いがお互いの作品に影響を与え合い、必要があれば手を貸し、刺激しあう。しかも彼らは、演劇、映画、ビジュアルアート、音楽と、あらゆるジャンルを軽々と横断しながら、お互いの力となっていく。この、岐阜県ほどの小さな国土、道を歩けば必ず知っている人に会ってしまうほどの小さな街で、このような芸術コミュニティが存在し、その小さなコミュニティから世界最高レベルの作品がぼんぼんと出てきているのだ。
またこれらのアーティストのほとんどが、アーティスト業以外に生活を支えるための仕事を持ち、その合間を縫って絶え間なく作品を作り続けているということ。ラビアたちにしても、これだけ世界中で有名なアーティストになった今でも、リハーサルのための劇場を借りることなど不可能で、本番直前まで自宅のアパートでリハーサルをしているという。。。涙。

午後からHome Works III の短編映像作品上映、シンポジウムに引き続き、アリ・シェリーのパフォーマンスが行われる。アリ・シェリーはTIF2004で招聘したラビア&リナの「ビオハラフィア」で、アニス酒を使った巧妙な舞台装置と映像を担当したアーティスト。今日の作品が彼の初パフォーマンスとなる。とてもセンスよい出来。今後がとても楽しみでならない。ちなみに、ラビア君はなんとオペレーションルームで英語字幕を出していた・・・世界で活躍する新進気鋭のアーティスト、また自分の検閲騒動の渦中にいて忙殺を極めるアーティストが、レバノンでは字幕だしもやる。どころか、字幕作成もやってあげていたらしい。・・・涙。

そんなかんなでレバノン3泊5日はタイムオーバー。検閲騒動の行方が気になって仕方がないが、夜中のベイルートをあとにした。
by smacks | 2005-11-19 23:49 | ■TIF07-レバノン
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