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日々の仕事のこと、観劇・鑑賞記録、出張報告など、国内外の舞台芸術を中心としたアートおよびアートマネジメント全般がテーマです。
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「ニセS高原から」

「ニセS高原から」@駒場アゴラ劇場。平田オリザの戯曲「S高原から」を、4人の演出家が同じ小屋、同じセットで演出するという、途方もなく面白い企画。

今日はポツドールの三浦大輔の演出と、三条会の関美能留(三条会)の演出、2バージョンを立て続けに観る。

2作品を観終えて、こういう企画を待っていたのだ、と強く思った。既に平田オリザ自身によって演出された普遍的テーマを扱う現代戯曲を、若手演出家たちがどう解釈するか。そこに歴然とした解釈の差、方向性の差、手法の差、そしてさらに言ってしまえば、才能の差が見える。
プロデューサーである前田司郎氏が「演劇史の教科書があれば太字で記されるような公演になると思っている」と企画趣旨に記していたが、まったく同感だ。これは勇気ある企画であり、それを敢えて受け入れたことに対し、まずこの4人の演出家たちに拍手を送りたい。

翻って、クラシック音楽や古典を扱う演劇やバレーなどは、同じレパートリーを個々のアーティストが解釈するかが勝負という、ある意味残酷な楽しみ方の上に成り立っている訳で、批評する側も明らかに露呈する技術の差、解釈の差を評価の軸にすえる。だから誤魔化しはきかない。

しかし日本の現代演劇では、往々にして若い演出家は自分の書いたテキストだけを演出する。自分の日常や世界観を自分の言語で演出する作業は、決して悪いことではないが、結局自分の世界の中に終わるケースが少なくない。そういった現状を何とか変えていくには、今回の企画のように、勇気ある大胆な試みが必要なのではないだろうか。そのためには、「S高原から」のように普遍性のある良い戯曲がもっと生まれることも必要だろうし、そういった良質な戯曲に真っ向から勝負する勇気と力量を持った演出家を育て、正しく評価していくプロデューサーや批評家も必要だろう。やることは多い。
by smacks | 2005-09-24 23:00 | ■演劇・ダンス系
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