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日々の仕事のこと、観劇・鑑賞記録、出張報告など、国内外の舞台芸術を中心としたアートおよびアートマネジメント全般がテーマです。
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アライブ・フロム・レバノン-ハリリ前首相の葬儀

b0028579_246013.gifレバノン情勢が厳しい。
一昨日のレバノン元首相ハリリ氏暗殺 (しかも350キロもの弾薬を使った実に計画的・組織的な自爆テロによる)によって、レバノンでは極めて厳しい状態が続いている。(がもちろん日本のメディアは小学校での殺傷事件とホリエモン騒動で、中東の小国の情勢不安をほぼ無視。)今日はその葬儀が行われた。国葬をという現大統領の打診を、遺族はかたく拒否。その陰には鮮明な政治的対立がある。(もともとレバノンでは大統領はキリスト教徒から、首相はイスラム教徒から選出されることが決まっている。)そして一般大衆にもひらかれた葬儀に参列した人の数は、なんと推定100万人。岐阜県ほどの面積の国土に400万人しか人口のないレバノンで、100万人、つまり4分の1が参加した計算になる。(日本だと2100万人が参列する計算だ。)ハリリ氏の個人的な友人であったフランスのジャック・シラク大統領も夫人と参列した。反シリア勢力のトップだったハリリ前首相の暗殺テロには、シリアが関与したという見方が強い、と各メディアは報じており、また国連も4月までにレバノン国内に駐留するシリア軍の撤退を求める様相。以上ニュースのレジュメ。
昨年の東京国際芸術祭で招聘したレバノンのアーティスト、ラビア・ムリエからメールが届いた。なんとハリリ前首相は、彼の勤めるレバノン国営放送Future TVのオーナーだったそうで、暗殺以降の混乱状態がひしひしと伝わってくる文面。未曾有の混乱と悲しみ、想像を絶するヒステリー状態が国に広がっている、とラビアは語る。この狭い国土に、18もの宗派がモザイク状に折り重なり、国会議員から裁判官、さらに民間企業のポストまで、ありとあらゆるものを宗派間で分け合っているモザイク国家レバノン。そこに軍事的・政治的圧力をかけるシリアと、レバノン国内でも活発な活動を展開する親シリア勢力。しかもアラブ共通の敵国であるイスラエルとの紛争もくすぶり続けている。・・・ひとたびその均衡が崩れたとき、「レバノン人同士が倦むことなく血で血を洗いあったあの戦争」を、彼らはいやがおうでも思い出すのだろうか。「親シリア勢力は、敢えてこの均衡を崩すことで再びこの国に内戦をひきおこそうとしている」と指摘するラビアは、もう戦争はこりごりだという大多数のレバノン一般人の心情を代弁しているにすぎない。あの戦争を若くして体験した世代から、ようやく手ごたえの強固なアートが生まれ始めたレバノンで、また「アートどころじゃない」状況に逆戻りすることだけは絶対に回避しなければならないだろう。

去年の東京国際芸術祭で実現した国際共同製作『アル・ハムレット・サミット』。この作品には、シリア、レバノン、イラク、サウジアラビアといった国々の超一級の俳優たちが参加し、アラブ多国籍チームが誕生した。昨年10月のソウル公演に引き続き、今年6月のシンガポール芸術祭での公演も決まったと、演出家スレイマン・アルバッサームから知らせを受けた。しかしこのような状況下で、果たして役者たちは同じステージの上に立ち続けることができるのだろうか?
イスラエルVSアラブ世界、という分かりやすい対立軸の陰にある、我々日本人には理解しがたいアラブ国家間での錯綜した対立関係。一部の権力者たちが利権のために捏造しているこれらの対立を乗り越え、芸術家たちは何をするべきなのか? そして我々は彼らとともに何をすることができるのか? 中東プログラム2年目を目前に控え、筆者の胸中は混沌としている。

Future TVのニュースはこちらから。ニュース全編がストリーミングで視聴できる。
by smacks | 2005-02-16 23:25 | ■TIF07-レバノン
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