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日々の仕事のこと、観劇・鑑賞記録、出張報告など、国内外の舞台芸術を中心としたアートおよびアートマネジメント全般がテーマです。
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『ルート181 パレスチナ~イスラエルの旅の断章』 

昨日に引き続き国際交流基金フォーラムにて開催中の「アラブ映画祭2005」プレイベントへ。会場は満員御礼状態で、350席はびっちりと埋まっていた。

『ルート181 パレスチナ~イスラエルの旅の断章』 
「南部」「中部」「北部」。全270分(4時間半)にも及ぶ脅威の超長編ドキュメンタリー。日本初上映。

47年に国連によるパレスチナ分割議決案[UN Rsolution 181]によってひかれた境界線「ルート181」を北上しながら、そこに住むイスラエル人、パレスチナ人にカメラを向けた超長編ドキュメンタリーなのだが、これが、とにかく、すごかった。

イスラエル人とは誰か? ユダヤ人とは誰か?
イスラエル建国以来60年の歴史とは何か。人々の記憶はどう保存・継承されているのか。
そして、そこにとどまり続けたパレスチナ人の生活とはどのようなものか。

知りたかったこと、特にパレスチナ訪問後にさらに深まった疑問に対するヒントが次々と出てきた。

ラマラを制圧するタンク(戦車)の上でカフカやレヴィナスについて文学談義を展開する若いイスラエル兵、母親のホロコーストを生き延びた体験を追憶しここ(イスラエル)に生きることの意味を再確認する男性、食べるためと壁建設に従事するアラブ系イスラエル人、などなど、50人は出てきただろうか。驚くべきは、インタビューを受けるイスラエル人の多様性。彼らのルーツはロシア、東ヨーロッパ、モロッコ、チュニジア、イエメン、エチオピア、アメリカ、などなど。それだけ多様な文化と過去を彼らだが、型で抜いたように自分が「ここに生きる」ことの正当性を主張し、家や財産を残して退去を余儀なくされたパレスチナ人たちに同情は示すものの、その事実と正面から向き合おうとはしない。
最後のシーンで、かつてチュニジアから移住してきたユダヤ人のおばあさんが、レバノンとの戦闘で失った息子を偲びながら「ここ(イスラエル)には生きる喜びがない」「シャロンもアラファトもいらない」と語っていたが、それこそ普通の人間の本音なのではないか。が、映画の大部分のインタビューではそんな素朴な見解は極稀で、人々はもっと自分の「ここに生きる」ことの正当性を声高に主張していた。そうしなければ、人類の歴史から一人残らず抹殺されようとしていた人々なのだ。

最後、撮影クルーの車はレバノンとの国境にたどり着き、映画は終わった。

こんなドキュメンタリーを本邦初公開してくれた(しかも全編で破格の1500円!)国際交流基金に、大感謝! 超充実の270分でした。この作品は4月のアラブ映画祭にも公開される予定なので、今回見逃した方は、ぜひぜひお運び下さい。
by smacks | 2005-02-13 23:55 | ■TIF05-パレスチナ
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