ノアの箱舟、現代の受難

年末年始にかけてあまりに暇だったせいもあり、岩波文庫版の旧約聖書「創世記」「出エジプト記」「ヨブ記」を読み進めている。「ノアの箱舟」は、今回のスマトラ地震による大津波災害を連想させる。かつてレクチャーの中で中堂先生は、このエピソードを「地球の気候変化によって氷河が溶け出し未曾有の大洪水が発生したことの記述ではないか」と推察していらっしゃったが、聖書の中に出てくる様々な超常現象も、現実には人間の知覚や想像力をはるかに上回る自然の力によるものだったのだろう。それらを後から都合よく物語化するために、「神」を登場させ、「契約」という概念を持ち出し、ある特定の民が土地(あるいは社会)を支配する口実(あるいは構造)として利用した・・・そのへんの構造をばっさりと切ってくださる中堂先生のお話は、仏教/ユダヤ教/キリスト教/イスラム教/その他ゾロアスター教から各種密教まで横断しつつ錬金術と水銀鉱脈確保をめぐる壮大な陰謀へたどり着く・・・とまあむちゃむちゃ面白いので、ぜひ一度Camo-Cafeでご高話頂きたいものだ。

話はそれたが、スマトラ島沖地震によって引き起こされた未曾有の大災害。世界中のメディアがその現実を伝えるのに手一杯になっている頃、あたかもその不在を狙ったかのように、イスラエルは議長選間近のパレスチナ・ガザ地区に侵攻した。年末から年始にかけて、未成年を含む多くのパレスチナ市民が殺されている。現在カナンの地では、ノアの箱舟よりもずっと政治的かつ人為的に引き起こされた受難が続いているのだ。 → Yahoo 中東情勢


 
by smacks | 2005-01-03 03:11 | ■TIF05-パレスチナ